[II-PSY3-4] 先天性気管狭窄を伴った先天性心疾患の臨床成績と治療戦略
Keywords:完全気管軟骨輪, 先天性気管狭窄, 先天性心疾患
【目的】先天性気管狭窄(CTS)を伴った先天性心疾患(CHD)の治療状況や成績を明らかにし,治療戦略について検討する.【対象と方法】2010年3月から2024年2月までの間に,完全気管軟骨輪によるCTSを伴ったCHDに対し治療介入(単独PDA閉鎖を除く)を要した61例(女児34例)を対象とし,診療録を後方視的に調査した.【結果】肺動脈スリング(PAS)群40例中,3例はCTS軽度でPAS修復のみ施行し,37例は気管形成術と同時に施行した.後者の内PAS単独が24例,併存する心病変への介入が13例で,その内1例は右室流出路stent留置術(S留置)を施行した.機能的単心室は1例(PA/IVS)で,体肺動脈短絡術を先行し1歳時にPAS修復と気管形成術を施行した.術後急性期にECMOを要した15例中2例を感染で失った(TOF, ASD).非PAS群21例の主診断は多様で機能的単心室は2例であった.21例中気管形成術不要もしくは未施行が11例で,S留置1例を除く10例に計15回の心臓手術が施行された.左肺無形成のCoA複合と右肺低形成の三心房心の2例を失い,S留置例は心内修復術を待機中である.気管形成術を施行した10例中,ASDとの初回同時手術1例を除いた9例に姑息的介入(S留置1例)が行われており,9例中限局型CTSの3例は補助循環非使用の気管形成術後に心内修復術を施行し,補助循環下に気管形成術を先行した4例の内3例が心内修復術に至り,1例は前医での加療となった.残る2例は気管形成術と心内修復術を同時に施行した.左肺無形成のCoA複合と機能的単心室の2例が在院死亡となった.呼吸器管理中は先端をフラットに加工した気管内チューブを多用し,単独心臓手術時には気管介入へのバックアップ体制を要した.【考察】CTSとCHDそれぞれの治療方針を踏まえ,気管形成術と心臓手術のタイミング,それに応じた介入法や術式選択の他,周術期管理等も含めた治療管理方針を,関係各科による綿密な検討のうえで,症例毎に決める必要がある.