[II-SY6-4] リンパ管イメージングは難治性PLEの管理を向上させるか
Keywords:リンパ管, Fontan, PLE
【背景】CHDのリンパ管障害に対するリンパ管イメージングは近年進歩している. 中枢リンパ系の画像評価は鼠径リンパ節穿刺により比較的簡便に実施できる. 一方で, PLEの診断治療には肝・腸間膜リンパ節へのアプローチを要し普及には至っていない. 当院では2020年以降, PLEを含むリンパ管障害の評価・診断治療を目的として造影/非造影MRL, シンチグラフィ, リピオドール造影によるリンパ管イメージングを行ってきた. 【方法】当院でリンパ管イメージングを行った症例のうち, Fontan術後遠隔期にリンパ管障害を合併し画像評価, 介入を実施した症例を検討した.【結果】Fontan術後遠隔期患者は31例中3例であった. リンパ管障害の介入時の年齢は各々16, 18, 35歳であった. Fontan手術時の年齢は1歳, 5歳, 5歳で症例3は35歳時にTCPC conversionを施行した. Fontan手術からリンパ管障害発症の期間は7年, 10年, 30年. リンパ管障害の内訳はPLEが2例, TCPC conversion後の乳び胸, 乳び心嚢が1例であった. 術式はLateral tunnel 2例, APC Fontanが1例であった. PLEの2例で非造影MRL, シンチグラフィによる中枢リンパ系の評価を行い1例で評価不十分のため造影MRLを追加した. 2例とも胸管の開存を確認し治療方針決定に寄与したが, 漏出部位の特定には至っていない. 乳び心嚢の1例は経皮経腹的に乳び槽穿刺による胸管の造影を行った. 胸管の開存を確認したが, 漏出部位は特定できなかった. 治療効果を期待しリピオドール造影を施行し乳び心嚢が改善した. CTで心嚢への漏出所見を得た.【結語】リンパ管イメージングはリンパ管障害の病態把握に有用である. 非造影MRL, シンチグラフィは比較的低侵襲で実用性が高くスクリーニングに有用である. 一方治療標的の特定には造影MRLが必要で, リピオドールによる診断的治療効果が期待される症例もある. またPLEの治療標的は多様で, 腸管リンパ系などを含めた複合的な評価を要し今後の課題である.