[II-SY6-5] 体静脈肺静脈副側血行路血行路は塞栓すべきか？
Keywords:フォンタン, 体静脈肺静脈副側血行路血行路, 予後
【背景】体静脈肺静脈副側血行路血行路（VVC）はフォンタン（F）術後遠隔期の肺循環異常で低酸素進行や血栓症の危険因子の一つである。一方、VVCはF循環の静脈高血圧を軽減させる順応形態である。【目的】当院のVVC閉鎖治療（EM）の臨床的な功罪を検討する。【方法】当院で1979年10月から2019年2月までにFが施行された448例中術後5年以上の血行動態が評価された400例を対象とした。EM5年後の中心静脈圧（CVP：mmHg）、動脈酸素飽和度（SaO2：%）を測定し、CVP上昇（≦ 0 mmHg）がなくSaO2が上昇した（＞ 0%）場合に有益、逆の場合有害、その他を不明とした。また、EM後の運動耐容能（PVO２：ml/kg/min）、運動中のSaO2低下の変化（dSpO2；%）、予後を検討した。【成績】400中31例（7.8%）でEMが施行された。VCC型は無名静脈、上大静脈、肝静脈、下大静脈から左房への還流が各々14、8、7、2例であった。EM後18例（62%）でCVPが上昇せず、15例（48%）でSaO2が上昇し7例（24%）で有益、11例（35%）でCVP上昇とSa02低下から有害と判断した。全体ではEM後CVP、SaO2、PVO2およびdSpO2は各々10.1 ± 2.1から10.1 ± 2.8、93 ± 2から92 ± 5、27 ± 6から25 ± 7およびdSpO2は-7 ± 4から-6 ± 4と変化はなかった。また、有益、有害、不明とEM未施行例の比較では有害群が最も予定外入院と総死亡が多かった（p ＜ 0.05）。【結論】VVC塞栓術は血行動態的に施行後24%で有益、35%で有害で、心肺機能への有益性は有意でない。一方、有害な症例の予後は不良となる。EMには慎重な考察が必要である。