[III-CPD5-1] 学校教諭との連携で実践した小・中学校での授業経験
キーワード:学校教諭との連携, いのちの授業, 心臓移植
2002年から18年間、筑波大学附属小学校校医を勤めた。その関係で全国の養護教諭にこどもの心疾患について講演する機会を得た。2017年GSKの医学教育事業助成(3年間)に学会として応募し、ハイブリッド形式の講演会PH Japan Project「守って救えるこどもの命」を立案採択された。全4回の最初の3回は小児の心疾患、心臓突然死、心臓移植、学校生活管理、集中治療、心肺蘇生、ASUKAモデルや移行医療をテーマとした。聴講者からの要望により、2020年の最終回は学会員と学校教諭で連携し、児童・生徒への「いのちの授業」を実践し録画配信した。その後2021年に学会社会制度エリア内に、「学会と教育の連携委員会」を立ち上げた。 私は個人的に3回の授業を実践してきた。2019年7月は小学校5年生を対象に、養護教諭、道徳教諭と臓器移植ネットワークと連携した計8回の一連授業の1回を担当し、「心臓移植」の授業を実践した。活発な質疑応答と授業後感想文の内容から大きな手応えを感じた。2019年12月は中学校1年生を対象に、小児救急医の「心臓移植」授業の前座として、「人として大切なこと」というテーマで授業を実践した。グループワークによる相互の意見交換では、積極的な発言と他人への傾聴姿勢が印象に残った。2021年1月は小学校校長が6年生を対象に、「人が死ぬとはどういうことか?」というテーマで理科の授業を行った際に、ゲストティーチャーとして招聘され「脳死」の授業を実践した。授業後検討会では、「人の死」を扱うには時期尚早という意見もあったが、授業中の児童の真剣なまなざしと、授業後のアンケート結果からは、こどもたちは「人の死」をむしろ冷静に受け止め、自分で考える良い材料であったように感じられた。 日頃からこどもの命と向き合う小児循環器医師には、「いのちの大切さ」をこどもたちに伝えられる可能性を感じている。