[III-CPD5-5] 日本臓器移植ネットワーク(JOT)の支援する「いのちの授業」実践
Keywords:臓器移植, いのちの教育, 出前授業
【背景】臓器移植法が施行されて26年が経過した現在も、JOTに移植希望登録をした人の内、移植を受けられる人は年間約4%に留まる。臓器移植で救えるいのちは、欧米と比べても極端に少なく、移植を受けられずに毎週9人ものいのちが失われている。臓器移植医療の普及には、社会の理解は不可欠であり、成人のみならず各教育課程においてもこれに繋がる取組が求められている。特に中学校においては、2019年度から道徳の教科化に伴い、教科書7社中6社で臓器移植に関する掲載があり、臓器移植を題材として生命の尊さ等を学ぶことへの期待から教育者の授業実践に関するニーズも高まった。一方で、授業実践にあたっては、学校内及び保護者への理解のハードル、臓器提供を推奨していると受け取られることへの懸念、臓器移植に関する知識不足等による影響から実践に踏み切れない教育者がいると考えられる。【目的】臓器移植を題材とした授業実践の支援【方法】教材の提供、訪問学習の受け入れや出前授業への講師派遣、実践経験のある教育者による内容や指導案、成果等を共有するセミナーの開催等の教育者への支援。【結果】セミナー登壇者からは、「臓器移植」の授業ではなく、「臓器移植」で授業することを通じて、多様な価値観を育み、自己の価値観の醸成等、未来を生きる子ども達に、余多ある現代的な課題の一つとして解決していく術を自ら考え、答えを出していくことに繋がる等の成果と共に、それに適した題材として捉えられ、参加者の授業実践への意欲が向上【考察】近年は、知識享受的な内容に心臓移植者等の当事者の講演を加えることで、臓器移植について自分ゴト化でき、さらに、いのちや日常の尊さ等を実感することに繋がり、いのちの授業の有用性と共に、新たな可能性が示唆されている。【結論】以上の考察より、教育機関への学習機会の拡大と各教育課程における最適化を通じて、平準的な授業実践を目指す。