[III-CPD6-2] 子どもの心理的社会的発達
Keywords:子ども, 認知発達, 心理的社会的発達
子どもには子ども独特の考え方や理解の仕方があり、その表現の仕方も様々である。乳幼児期には“いないいないばあ”を喜んだり、不思議な表現や行動もみられたりする。段々と概念も発達し、学童期になると生活環境や人間関係も拡大していき、思春期には“自分ってなんだろう”と考えだしたりもする。このような、心理的社会的な側面には、認知・思考・情緒・自我・愛着・言語・遊び・社会性など多様な要素があるが、そのどれもが、小児期を通して著しく発達するとともに、各発達段階での特徴をもつ。心理的社会的発達を知ることは、その子どもが様々な現象をどのように感じ、思考しているのか、なぜそのような考え方や反応をしているのか、また、自己概念や人間関係の構築がどのように発達していくのかを理解することにつながる。さらに、病気をもつ子どもにおいては、子どもの病気や治療体験の受け止め方や、もたらす影響、表現の意味を理解するための基盤知識であり、子どもとの関わり方や援助の考案、発達の促進への要になる知識である。ここでは、心理的社会的発達の多側面の中から、ピアジェの提唱した「認知発達理論」と、エリクソンが提唱した「心理社会的発達理論」に焦点を当てる。「認知発達理論」では、子どもの認知能力が段階を追って普遍的に発達していく4つの段階とその特徴を、「心理社会的発達理論」では、人間の生涯を8つの発達段階に分けて説明された心理的課題と危機、および、課題達成により獲得する要素を概観する。これらは子どもの心理的社会的発達の一部ではあるが、子どもの世界からの考え方や理解の仕方を表すものであり、それぞれの発達に合わせたその子どもにとっての最善のアプローチへの手がかりになると考える。