[III-CPD6-3] 子どものセルフケアの発達
キーワード:セルフケア, 基本的生活習慣, 発達
本パネルディスカッションでは、セルフケアの発達として基本的生活習慣に焦点をあてて解説する。基本的生活習慣とは一般的に食事や睡眠、排泄、清潔、着衣を指し、幼児期に発達する。この生活習慣は、生理的欲求やと社会的ルールに関わる行動パターンの形成という2つの要素を含んでおり、これらを身につけることは、子どもが生きていくために獲得しなくてはならない、かつ、社会の中で快適に生活するために大事な力となる。基本的生活習慣は、例えば排泄の自立において、排泄に関連する知覚や神経、筋肉的な成熟がされているなど、身体的機能の発育が前提となる。失敗や成功を繰り返し行動することで習得し、次第に子ども自身の意思で行動し継続できるようになっていく。この過程には、一緒にやってもらう、真似る、ほめられる経験が必要で、時間がかかっても待っていてもらえたり、友達と競ったり、うまくできるように環境を整えてもらうことも大事である。こうして子どもは大人に全面的に依存していた基本的な生活習慣を一人でできるようになっていく。病棟は子どもにとって治療の場であると同時に、生活する場所であり、子どもたちはこの環境から刺激を受けて成長・発達していく。しかし、治療によって行動が妨げられたり、具合の悪さから意欲が低下したり、慣れない方法でいつもの生活習慣を遂行するのは難しく、一時的に退行してしまうことがある。入院や治療に伴う環境の変化が子どものストレスとならないよう、家庭と同じやり方をとりいれる、ベッド周りの環境を整えるなど、私たち医療者は配慮する必要があるが、それには子どもの基本的生活習慣の発達の理解が不可欠である。本ディスカッションは、子どもの発達や状況に応じたセルフケアの支援をともに学ぶ機会としたい。