第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

委員会企画パネルディスカッション

委員会企画パネルディスカッション6(III-CPD6)
子どもの成長・発達を学ぶ

2024年7月13日(土) 08:00 〜 09:00 第4会場 (4F 411+412)

座長:仁尾 かおり(大阪公立大学大学院看護学研究科)

[III-CPD6-4] 心疾患を抱える子どもの社会性の発達と支援の必要性

原田 香奈 (東邦大学医療センター大森病院)

キーワード:社会性の発達, 医療環境, 心疾患を抱える子ども

心疾患を抱える子どもは、出生直後から集中治療管理が必要となったり、乳児期に手術を受け、外来通院と在宅管理の生活が必要となったり、検査入院や手術を繰り返す場合も多い。子どもが家族と一緒に日常を過ごしながら日々成長発達する過程の中で、親の中には体調や感染面での恐れから子どもを自宅で過ごさせることも多く、公園遊びや家族以外の他児と交流する機会をなかなか持てずにいる場合もある。また、在宅酸素の管理がハードルとなり、外出する機会を容易に作るのが難しい親子や家族状況もある。子どもの社会性の発達は、小学校入学時までなど、その年齢を迎えれば自然と育っているというものではない。親子の家族社会や関係性だけでなく、その子どもが周囲環境からどれだけ多くの刺激や影響を受けられたか、学び合う機会があったかによる。心疾患を抱える子どもは、医療現場や医療スタッフに囲まれた環境下で過ごすことも多い。そのため、医療環境への適応や医療者など大人とのコミュニケーションは特に問題にならなくても、同年代の子どもとの関係性においては、関係作りの仲介や支援が必要になる子どもも多い。子どもの社会性は、周囲環境や子ども同士の遊びと交流によってお互いに学び、子ども同士の関係性の中で身についていくものである。医療環境の中であっても、同室児らと一緒に遊びながら、身体発育だけでなく、言語、認知、情緒、社会性の発達も促進されることが重要になる。心疾患を抱える子どもと親への養育支援の中で、子どもの成長発達における社会性の発達についても見守りながら確認していくことが必要である。そのためにも、医療者側がどのように子どもの社会性が育まれるのかを認識し、子ども達の遊びや子ども同士の関わりの機会を大切にしながら、医療環境においても、そして、退院後の生活の中でも、子どもに必要な成長発達の機会を逃さないように支援する必要がある。