[III-CSY4-1] 本邦での予定外入院フォンタン患者の頻度と治療管理法の現状:前向き多施設コホート研究(フォンタンレジストリー)
キーワード:フォンタン, 入院, 合併症
背景:フォンタン術後(F)患者では入院や総死亡の頻度が高いが標準治療管理法がない現状での日本の診療状況は明らかでない。目的:日本のF患者の予定外入院(USH)の現状(頻度、管理法、結果)を把握する。方法:日本の20施設(high volume center [HVC] ≥ 200, n = 6)で観察中のF患者3227例(平均14歳、小児2155例)の3年間のUSHの診療の現状を前向きに調査する。結果:3年間で243例(7.5%)のUSHが観察され、原因は心不全(HF)が最も多く(n = 47、19.3%)、次いで感染(n = 46、18.9%)、蛋白漏出性胃腸症(PLE、n = 40、16.5%)、出血(n = 32、13.2%)、不整脈(n = 23、9.5%)、血栓(n = 6、2.5%)、鋳型気管支炎(n = 4、1.6%)、その他(n = 45、18.5%)であった。疾患別頻度では僧帽弁閉鎖(12.5%)が最も高く、次いで単心室(9.5%)、左心低形成性症候群(8.0%)であった。全体の入院期間は中央値9日で、血栓(20日)が最も長く、次いでPLE(18日)、心不全(13日)で、7例(2.9%)が死亡していた。退院後中央値2.0年の経過で76例(32%)が再入院し、PLEが最も多く(n = 26、34.2%)、心不全(n = 12、15.8%)、出血、感染(n = 10、13.2%)の順であった。HVCでUSH頻度が少なかったが(HR; 0.38, p < 0.0001)、再入院の頻度が高かった(HR: 1.58, p < 0.05)。心血行動態ではなく退院時の高いALP、低いAlbと少ないWBCが独立に高い再入院リスクと関連した。結論:HF、PLE、感染と出血が日本のF患者のUSHと関連しQOLを低下させる主因である。これら主因に対する治療・管理法の確立が急務である。