[III-CSY4-10] 小児循環器領域における人工知能の応用:胸部レントゲンと12誘導心電図:学校心臓検診における AI応用とそのデジタル基板整備
キーワード:学校心臓検診, 心電図, AI
【背景】最近、人工知能(AI)が胸部X線写真から肺体血流比を予測できることを報告した。12誘導心電図(ECG)判読について、信号処理とAIの融合により自動判読アルゴリズムを開発した。そこで、(1)開発したECGのAI判読システムと(2)学校心臓検診ECGの全国共同研究に向けての体制整備について報告する。【方法】(1) ECGデータ収集アプリ(特許申請中)を用いて、ECGの波形データの学習及び評価を行った。患者の年齢、性別、ECGの波形データ(MFER形式)、自動診断結果を収集した。ECGの波形は、ガイドラインに基づいて専門医が判定した。データを学習用データ(約80%)、評価用データ(約20%)の2群に分け、学習用データを用いてAIの学習を行い、評価用データを用いて診断能を評価した。(2)全国のECG検診のデジタル化の状況について、多施設共同研究に向けて、修練施設の全国調査研究をおこなった。【結果】(1)対象は 1842の12誘導ECGで,年齢中央値 10.8 歳±3.7,男児 54%であった。519 件(28%)のECGが異常を有した。Test 群のECG 310 件のうち 84 件(27%)が異常を有した。異常の有無の診断について、本モデルの accuracy は 83%で、従来の自動判読によるもの(57%)よりも有意に高かった(P<.001, McNemar)(in submission)。(2) Preliminaryな調査では、問診事項、ECGのデジタル判読において、問診のデジタル化は、極めて少数の地域のみであり、ECGのデジタル保存の地域は見られたが、判読業務は紙ベースが多かった。【結語】AI-ECGの初期モデルは作成できた。診断率向上に向けて、現時点で可能な地域の共同研究による症例数増加と全国のデジタルECGの共同研究に向けての体制整備が重要である。