[III-CSY4-13] 3D printing技術による”超軟質精密心臓レプリカ”の開発をその応用に関する研究
キーワード:3D printing, 複雑先天性心疾患, シミュレーション
これまでに我々は、複雑先天性心疾患の外科手術支援を目的に、患者の心臓CT画像データから、心臓大血管の内型と外型を光造形により3D printingした鋳型に、真空注型を組み合わせた“軟質実物大3D心臓モデル”を開発した。本機器を用いることで、執刀医が事前に個々の患者の心臓内部構造を詳細に観察できるとともに、切開・縫合による手術シミュレーションが可能となる。疾患と病態が多岐にわたる複雑先天性心疾患において、患者に適したテーラーメイド医療を実現することに役立つ。2021年には医師主導治験を終了して有用性と安全性を証明し、また2022年には日本小児循環器学会ワーキンググループにおいて対象となる疾患の選定指針(非適応疾患を明記)を決め、それらを基に2023年7月に管理医療機器(クラスII)として薬事承認を受けた。診断と外科治療のために本機器を必要とする先天性心疾患が適応となるが、主な基準としては、(1)生命維持のために心臓修復手術が必要な15歳未満の小児先天性心疾患患者。(2)診断及び治療方針の決定にMSCTによる心血管造影検査を行う必要のある患者。(3)心臓及び大血管の立体構造が複雑な先天性心疾患で、 手術前に本機器を用いた形態診断及び手術シミュレーションを行うことでより正確に心臓大血管の立体構築を理解でき、手術術式に関わる重要な情報を得ることができる患者。(4)本機器の入手までに緊急及び準緊急に心臓修復手術の可能性のある重症患者は対象としない、以上としている。具体的な適応疾患として11種類の先天性心疾患を掲げている。現在保健収載に向けて各種申請を進めているので、今後の展望について報告する。(本機器は、(株)クロスメディカルとの共同研究開発による。)