[III-CSY4-2] 研究課題A: 孤立性右室低形成の疫学と予後調査
Keywords:孤立性右室低形成, チアノーゼ
【背景】孤立性右室低形成(IRVH)は、報告が少なく、その臨床経過や予後については明らかにされていない。【目的】学会主導研究として、IRVHの疫学、臨床学的特徴と予後を明らかにすること。【方法】共同研究施設として35施設を登録した。IRVHの診断基準は、心臓カテーテル検査または心臓MRI検査で右室容量が70%以下であること、右室流出路に中等度以上の狭窄がないこととした。臨床情報と各種検査データを収集した。【結果】登録症例は14例(男性7名)。診断年齢は0-9歳(中央値0歳)で、9例(64.2%)が日齢10までに診断されていた。14例中2例に家族性を認めた。診断の契機は、チアノーゼ8例(57.1%)、検診やスクリーニング5例(35.7%)であった。診断時平均経皮的酸素飽和度は88±9.8%で、90%以下の症例が9例(64.2%)であった。心臓カテーテル検査所見では、右室拡張末期容量正常比(%RVEDV)は51.8±19.5%であり、右室拡張末期圧は8.3±2.9mmHgであった。外科的治療は5例(35.7%)で施行された。内訳は、BTシャント2例、ASD半閉鎖、ASD閉鎖+右室筋切除術、1.5心室修復術、フォンタン手術が各1例であった。経過観察中(中央値41.4か月)に、死亡例は認められなかった。1心室または1.5心室修復術、体肺シャントを要した群は%RVEDVが50%以下であった。【考察】IRVHは、3割の症例で外科的治療を要した。1心室修復や体肺シャントを要する群は、より%RVEDVが低値であることが示唆された。【結論】IRVHは比較的予後が良好であることが示された一方で、外科的治療を要する症例も見られ、症状と治療に幅広いスペクトラムが見られた。IRVHの診断と治療を層別化するためには、今後も症例数を増やしていくことが重要である。