[III-CSY4-3] 研究課題A: 先天性門脈体循環シャントにおける治療法の確立と遺伝学的要因の解明
キーワード:先天性門脈体循環シャント, 肺高血圧症, 遺伝子解析
【背景と目的】先天性門脈体循環シャント(CPSS)は門脈系-静脈系にシャントを有する血管奇形の一つである。先天性心疾患や精神発達遅滞を含む他臓器の合併症が多いことも特徴的であり、その成因には遺伝的な背景がある事が想定されるが現在のところ不明である。また、CPSSは非常にまれな疾患であるため、高いエビデンスレベルに基づいた治療管理方針は存在しない。本研究の目的は、①全国的な疫学調査によってCPSSの臨床像を明らかにし、その適切な治療管理法を確立すること、並びに②CPSSに共通する遺伝子変異を同定することである。【方法】①全国調査の対象患者は、2005年4月1日から2023年3月31日の間に九州大学病院小児科または共同機関の小児科でCPSSと診断された患者。九州大学REDCapを使用して対象患者の臨床情報を取得する。②当院で管理中のCPSS患者及びその家族に対して、全エクソーム解析による網羅的遺伝子解析を行う。【結果】①九州大学病院では30症例程度の患者が対象に含まれる。全国調査では抄録作成時点で2次調査後の段階であり具体的な対象患者数は不明である。②全エクソーム解析は終了しており、複数の疾患関連遺伝子変異候補が挙がっている。【今後の方針】①2024年度中に、全共同機関においてREDCapによる患者登録を完了し、2025度に解析・論文化による公表を行うことを目標とする。②2024年度中に解析結果をまとめて論文化によって公表する事を目標とする。