[III-CSY4-8] 川崎病患者の難治例を予知するバイオマーカーの開発
キーワード:川崎病, バイオマーカー, 難治
【背景】川崎病は特に治療抵抗例(難治例)で高率に冠動脈瘤を合併する。また我が国において初期治療不応例を予測するスコアがあるが、他国では通用しない。【目的】1.世界共通であるバイオマーカー:テネイシンC(TN-C)、ペントラキシン3(PTX3)、プロカルシトニン(PCT)で川崎病難治例を予測できるかを検証する。 2. 難治例予測診断法を確立するために各バイオマーカーのカットオフ値を求める。 【方法】2017年度よりAMEDと契約し、各分担施設、協力施設(計48施設)にて川崎病入院患者の治療開始前と2020年度以降は治療開始2日後にも各バイオマーカーを測定、診療情報を登録いただき、2024年3月で終了した。対象は1307例。3rd line以上の追加治療を必要とした不応例を難治例と定義し、難治群(n=50)と非難治群(n=869)に分類、ROC解析を用いてArea Under the Curve(AUC)とカットオフ値(CO)を求めた。【結果】各バイオマーカーとも治療開始前と2日後共に難治群で有意に高値、<TN-C>治療前;AUC 0.71, CO 152 ng/ml、2日後;AUC 0.64, CO 110 ng/ml <PTX3>治療前;AUC 0.83, CO 31.7 ng/ml、2日後;AUC 0.72, CO 10.4 ng/ml <PCT>治療前;AUC 0.81, CO 2.07 ng/ml、2日後;AUC 0.80, CO 0.73 ng/ml であった。【考察】AUCが最も高かった治療開始前のPTX3値が難治例予測に最も有用と思われた。世界共通の難治例予測診断キットの開発に繋げ、冠動脈瘤合併予防に貢献していく。