[III-CSY4-9] 先天性無脾症候群を含む免疫不全状態にある患者に対する予防接種ガイドライン2024の作成
キーワード:無脾症候群, 予防接種, ガイドライン
【背景・目的】先天性無脾症候群に対する感染管理の現状・課題を明らかにするため、2021年に全国の小児循環器専門医修練施設群に対して質問票を用いた調査を行った。「発熱時対応」「抗菌薬の予防内服」「予防接種」「患者教育」について、施設間で診療方針が大きく異なることが分かり、感染管理指針を示す必要があると考えられた。日本小児感染症学会監修のもと、小児循環器学会を含む9学会合同での「免疫不全状態にある患者に対する予防接種ガイドライン2024」の作成に参画した。【方法】無脾症候群患者に対するワクチンの有効性と安全性について、CQ1「無脾症患者に対して肺炎球菌ワクチンの追加接種が推奨されるか?」、CQ2「無脾症患者に対して髄膜炎金ワクチンが推奨されるか?」、CQ3「無脾症患者に対して健常者に推奨されているワクチンを接種すべきか?」を設定し、エビデンスの選択基準、エビデンスの強さを検証した。【結果】CQ1:無脾症患者では、肺炎球菌による侵襲性肺炎球菌感染症の頻度と重症度が高い。血清型特異的IgGの産生とオプソニン活性を高める効果が期待できるPCV13/PCV15を接種後に、血清型カバー率の高いPPSV23の接種が推奨される。また、健常者と比べて抗体保有率が低下しやすいことから、2回目のPPSV23接種をPPSV23初回接種後5年後に行うことが推奨される(推奨1、エビデンスB)。CQ2:無脾症患者では、侵襲性髄膜炎菌感染症の頻度や重症度が高いことから、髄膜炎菌ワクチンが推奨される(推奨1、エビデンスB)。CQ3: 無脾症患者には健常者に推奨されているすべてのワクチンを接種することを推奨する(推奨1、エビデンスの強さD)。【考察・結語】本邦における先天性無脾症候群患者の予防接種指針を示すことで、予後改善に寄与できる可能性が高い。本研究ではガイドライン策定前後でのレジストリ研究を実施中で、無脾症候群患者におけるワクチンの有効性と安全性を検証していく予定である。