[III-MES-1] 立ち止まり物語る倫理のススメ 〜立ち止まり、選択を意識し、物語を共に紡ぐ〜
キーワード:倫理, 共同意思決定, 中庸
医療の質と安全を向上させる上で重要と考えられる倫理だが、「難しく面倒なもの」「聖人君子な生き方」と理解されがちである。しかしながら、倫理は私たちがよりよく豊かに生きる上で必要不可欠な実践である。人生とは選択の連続であり、私たちは言うまでもなく毎日選択して生きている。倫理とは「私たちが何かを選ぶことに関すること」であり、私たちは選んでいるという意識があって初めて倫理的になることが出来るという意味で、倫理とは「選択に向き合う私たちの姿勢」に他ならないと言えよう。すなわち、私たち1人1人が毎日の小児医療の臨床において「何かおかしいぞ」と思った時にしっかりと立ち止まり、「なぜそうしなければならないのか」「なぜそうしてはならないのか」という理由を自分の頭でしっかりと考えながら、独断・独善に陥いることなく、思考停止することなく、手順を踏み、参照し、両親やスタッフと十分に対話・協議しつつ、小児の意見と視点を共同意思決定プロセスに出来る限り反映させるように努力し、小児の最善を探求する専門家としての義務と両親の意向の丁度中間でためらい悩みながら(中庸を心がけながら)、皆で共に物語を紡ぐ「姿勢」こそが小児医療の倫理であるということを、皆さんと一緒に考える時間としたい。