[III-OR23-04] 愛知県での小児期COVID-19ワクチン関連心筋炎とMIS-Cの疫学調査結果
キーワード:新型コロナウイルスワクチン関連心筋炎, 小児多系統炎症性症候群, 疫学調査
【背景と目的】新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチン関連心筋炎と、COVID-19感染に伴う小児多系統炎症性症候群(MIS-C)の小児期における日本独自の疫学データは少ないため調査を行った。【方法】愛知県全域を網羅できるよう2次病院以上の計28の医療機関を対象とし、15歳以下のワクチン関連心筋炎(観察期間2021年5月-2024年3月)とMIS-C(2020年1月-2024年3月)の疫学を調査した。【結果】ワクチン関連心筋炎は9例であった。年齢は7-15歳(中央値14)で全例が男児であった。ファイザー社7例モデルナ社1例で、接種回数は2-4回(中央値2)であった。発症は接種後1-3日目(中央値2)であった。主な症状は胸痛で全例血中トロポニン陽性、心電図で8例にST上昇を認めた。心エコー所見は異常所見なし2例、軽度の心機能低下2例、心嚢水4例、軽度僧帽弁逆流2例であった。治療は経過観察のみ1例、NSAIDのみ7例であった。入院期間は0-18日間(中央値4)であり、ICU治療を必要とする症例は無かった。一方、MIS-Cは6例であった。年齢は4-10歳(中央値8)で男児3例、女児3例であった。発症時期は2021年4例、2022年1例、2023年1例であった。全例ワクチン接未接種であった。主な症状は発熱、皮膚粘膜リンパ節症状、消化器症状であった。全例、抗原または抗体が陽性であった。心電図ST上昇1例、心エコーで重度の心機能低下1例、心嚢水3例、軽度僧帽弁逆流1例であった。治療は人工呼吸器1例、カテコラミン2例、ステロイド4例、免疫グロブリン5例、利尿剤3例であった。入院期間は8-23日間(中央値15)、2例がICU治療を要した。長期的な心臓後遺症についてはワクチン関連心筋炎もMIS-Cも認めなかった。【結語】本研究結果を公開し、ワクチン関連心筋炎やMIS-Cの特徴を共有し、今後の対応策につなげる。