[III-OR24-01] Prediction of symptoms and evaluation of surgical indications after birth based on tracheal morphology of Double aortic arch
Keywords:重複大動脈弓, 気管形態, 症状予測
【背景】重複大動脈弓による血管輪は、出生直後から高度の呼吸症状で発症する症例や乳児期に呼吸障害、嚥下障害で発症する疾患である。従来はまれな疾患と考えられていたが、近年、胎児診断症例が増加し、頻度の多い疾患であることが分かってきた。以前は診断時点ですべて手術介入の方針が取られていたが、多くが無症状で経過することが明らかになってきており、重複大動脈弓による血管輪に対する治療方針の再検討が必要と考えられる。【目的】重複大動脈弓の出生後の症状の出現の予測と手術適応の評価を明らかにすること。【対象と方法】2013-2024年に当院で周産期管理を行った重複大動脈弓・血管輪の胎児診断例19例を対象とした。後方視的に出生後の造影CTを含む診療情報を得た。造影CTの水平断を用いて、気管の最狭部と参照部に対して気管面積を計測した。最峡部は血管輪に囲まれ最も狭く描出される気管、参照部は鎖骨の高さの気管と定義した。これらの値を用いて気管面積比(=最狭部気管面積/参照部気管面積)を算出し、出生後に喘鳴、酸素化不良などの症状を認めたS群と症状のないnon-S群とで比較検討を行った。【結果】19例(男11例、女8例)のうち、S群は4例、non-S群は15例であった。S群では全例が新生児期に手術を受けていた。S群の気管面積比は中央値0.32(0.21-0.44)、non-S群の気管面積比は中央値0.61(0.32-0.81)であった。S群の気管面積比はnon-S群より有意に小さく、S群の気管面積比は全て0.5未満であった。Non-S群の内、4例は、現在までに手術を受けず、症状も出ていない。この4例の気管面積比は全て0.5以上であった。【結語】重複大動脈弓・血管輪の症例の中には手術を必要としないものもあり、気管面積比が0.5以上であることが、手術を行わない方針の基準となる可能性が示された。