[III-OR24-02] Outcomes of surgery for airway stenosis due to vascular compression
Keywords:気道狭窄, 大動脈吊り上げ, 気管外ステント
【背景】血管圧迫による気道狭窄は稀でないがその治療戦略は未確立である。当院では責任血管の吊り上げを主に、症例により気管外ステントを併施している。【目的】当院の治療戦略の妥当性を検証する。【方法】2014-2023年に手術介入した11例を後方視的に検証。CTにて圧迫のパターンを分類し、気道狭窄部断面積とretroaortic space(大動脈弓と左房上壁で囲まれる面積)を測定した。観察期間は中央値3.0年(0.2-8.6)。【結果】11例中10例が心血管異常を合併(VSD3例、TOF1例、TOF/APVS1例、TGA(3)1例、PA/VSD1例、右側下行大動脈+動脈管2例、右鎖骨下動脈起始異常+動脈管1例)。血管圧迫のパターンは低位大動脈弓4例、下行大動脈前方偏位3例、右側下行大動脈3例、腕頭動脈2例、MAPCA1例、動脈管1例、肺動脈拡張1例であった(重複含む)。狭窄部位は左主気管支9例、気管2例であった。手術時の月齢中央値5.5ヶ月、体重中央値4.9kg。術式は責任血管の吊り上げ9例(大動脈6例、肺動脈2例、腕頭動脈1例)、動脈管離断5例、気管支外ステント3例、肺動脈縫縮2例であった(重複含む)。在院死亡2例(PA/VSD1例(感染)、TOF/APVS1例(消化管穿孔)、いずれも22q11.2欠失)。5年間生存率81%であった。気道狭窄率は平均78→32%へ改善した(p<0.05)が、3例で50%以上狭窄が残存した。狭窄残存例は狭窄非残存例と比べretroaortic spaceが狭かった(133cm2 vs 218cm2、p<0.05)。気管支外ステント3例では狭窄はよく解除された。狭窄残存例のうち2例はその後改善したが1例はバルーン拡張を要した。5年間再介入回避率88%であった。【考察】圧迫のパターンは多彩なため、症例毎に吊り上げ法を工夫しretroaortic spaceを確保することが肝要である。気管外ステントも有用な選択肢の一つと考えられた。【結論】血管圧迫による気道狭窄に対する治療成績は概ね良好であったが、一部で狭窄が残存した。治療法の更なる改良が望まれる。