[III-OR25-01] 大動脈離断/縮窄複合症修復後の両側肺動脈絞扼解除部の経時的評価
キーワード:両側肺動脈絞扼術, 大動脈離断症, 大動脈縮窄複合症
【目的】 大動脈離断/縮窄複合症修復後の両側肺動脈絞扼(PAB)解除部を経時的に評価する。【対象・方法】 2012年から2023年に両側PAB後に二心室修復手術(BVR)を行った8例を対象とした。両側PABは幅2mm、厚さ0.4mmのePTFEテープを用い、PAB部の血流波形が連続波を呈するように調整した。経胸壁心臓エコー検査で左右PAB解除部を測定し、Z scoreとして計算。BVR直後と直近でMann-Whitney U testを用いてPAB解除部を比較、検討した。【結果】 診断名は8例中6例が大動脈弓離断症、2例が大動脈縮窄複合症。両側PAB時の手術時年齢は日齢中央値14日 (3 ~ 42日)、術後PAB部のZ scoreは左側で-4.0 (-4.4 ~ -3.1)、右側で-4.3 (-5.7 ~ -3.6)。 両側PABからBVRまでの待機期間は48日 (16 ~ 131日)で、BVR後の追跡期間は79ヶ月(12-120ヶ月)。BVR直後と直近の比較でPAB解除部のZ scoreは左側で-1.9 (-2.7 ~ 0.8) vs. -2.2 (-2.7 ~ -2.0) (p値=0.46)、右側で-1.6 (-3.8 ~ -0.5) vs. -0.8 (-1.6 ~ 0.5) (p値=0.11)と有意差は認めなかった。また、PAB解除部の最大血流速度も左側で1.3m/s (0.9 ~ 2.6m/s) vs. 1.5m/s (0.9 ~ 2.0m/s) (p値=0.31)、右側で1.6m/s (1.2 ~2.4m/s) vs. 1.5m/s (0.9 ~ 1.7m/s) (p値=0.39)と共に有意差は認めなかった。追跡期間中、PAB解除部への手術やカテーテル治療を要する症例は認めなかった。【結論】PAB解除部は正常値と比べ狭小ではあったが、追跡期間中その成長率は変わらず、手術やカテーテル治療を要さなかった。