[III-OR25-04] フォンタン手術後恒久的ペースメーカー植込み療法における長期成績報告
キーワード:フォンタン, ペースメーカー, 不整脈
【背景】フォンタン患者に発症する徐脈性不整脈の治療は、体格や余命、心室内リード留置困難などを考慮され、心外膜ペースメーカー植え込み(PMI)が選択されることが多い。フォンタン術後ペースメーカー療法の実態に関しては十分な調査が行われておらず、特に遠隔期の臨床データは不足している。【方法】当院のフォンタン手術患者群から臨床データを抽出した。PMIの適応となった徐脈性不整脈診断および遠隔期におけるデバイス関連合併症、電極リードの情報、電極リード耐用年数などを後方視的に調査した。【結果】合計491例(観察中央期間20.0年)が本研究に登録された。PMIは71例(14%)に施行された。心外膜PMIが主であり、一例のみ心内膜PMIが施行された。心臓再同期療法(CRT)は6例に施行された。PMI適応となった不整脈診断は洞不全症候群 44例(62%)、房室ブロック 22例(31%)、房室接合部調律 5名(7%)であった。多脾症 (OR: 2.42, 95%CI 1.03-5.72; P=0.04)、房室不一致心 (OR: 2.07, 95% CI 1.12-3.85; P=0.021)、頻脈性不整脈の合併 (OR: 3.03, 95%CI 1.61-5.70; P<0.01)、TCPC Conversion施行歴 (OR: 6.08, 95%CI 3.28-11.3; P<0.01) はPMIと有意に関連した。PMI 群のうち、31例(電極リード抵抗値・閾値異常高: 17例、電極リード離断: 11例、電池切れ: 3例)でペーシング不全を経験していた。電極リード植え込み年数とリード使用不可事象発生は正の相関関係にあった(R2=0.55)。電極リードの最長耐用年数は32年であった。脳梗塞を2例、肝細胞癌を3例で認め、MRI施行不可や放射線治療困難など他科診療に幾ばくかの制限を与えていると思われた。【結語】フォンタン術後でペースメーカー療法を受けた患者の大半はペーシング不全やデバイスの諸問題を経験していることが判明した。成人期に特有の課題も散見されており、デバイス関連マネジメントは重要性を増していくと推察された。