[III-OR25-05] フォンタン手術後蛋白漏出性胃腸症に対する当科での取り組み:どの治療が中長期的な予後を改善するのか?
キーワード:フォンタン手術, 蛋白漏出性胃腸症, フェネストレーション
【序文】蛋白漏出性胃腸症(PLE)はフォンタン手術後に発症する難治性合併症である。発症には様々な因子が関わる。確立された効果的な治療は未だ無く、多方面からのアプローチにより集学的な治療管理が行われている。多くはフォンタン循環破綻を背景として持っており、近年の当科での治療はFenestration開存を軸にした血行動態的な改善を中心に行われている。この研究で当科のPLEに対する治療変遷による予後の評価を行い、またFenestrationが予後に影響するかを評価した。【対象・方法】PLE患者総数32例、フォローアップ(f/u)中央値9.2年(1.3-18.6年)。全体の寛解導入率・再発率・生存率の評価。1, 2010年以前発症した15例 (A群: f/u中央値12.4年) とそれ以降に発症した17例(B群f/u中央値8.0年) について再発率・生存率・発症早期治療内容 (PLE発症後2年以内に施行した) を比較。2, PLE発症後治療・管理中にFenestration有20例(F群) と無12例(NF群) について再発率・生存率について比較した。【結果】寛解導入率96%、再発率73%、生存率82%(5年)、77%(10年)、56%(15年)。生存率A群: 67%(5年) 、60%(10年)/B郡: 100%(5年)、100%(10年)・再発率A群: 100%、B群76%。早期治療内容についてはヘパリン・ステロイド投与についてA群が多く、 選択的肺血管拡張薬・トルバプタン・ピモベンダン・カテーテル治療についてB群が多い傾向であった。生存率F群: 100%(5年)、100%(10年)/NF群47%(5年)、35%(10年)・再発率F群85%、NF群92%。【総括】生命予後は以前に比べ改善しているが、再発率は依然高くQOLについては問題が多く、末期状態になるとあらゆる治療に対する反応性は著しく低下する。治療方針としてPLE特異的治療より血行動態改善(低静脈圧・output改善)を優先する方針、特に早期にFenestration開存させて管理を行うが良いと思われるがそれだけでは再発は防止できない。新たな治療も含め集学的な治療方針構築が必要である。