[III-OR26-01] Comprehensive care for patients' and parents' quality of life after pediatric heart transplantation
Keywords:小児心臓移植術, 生活の質, フォローアップ
【背景】心臓移植術の目的は、生命予後の改善に留まらず、患者の心理社会的な機能の回復にある。その回復が不十分だと生活の質が低下するだけではなく、特に小児は成長発達の過程にあり、長期予後にも悪影響を及ぼす。従って、最善の予後となるように支援するには、移植術後の生活で患者家族が戸惑う内容や時期を整理する必要があると考えた。【目的】小児心臓移植術後の生活の質改善に向けて、退院後に患者家族が戸惑う内容と時期を整理して把握する。【方法】当院で2019年から2023年に心臓移植術を受けた、幼児から学童期の6名について、退院後に患者家族が戸惑う内容を看護記録から後方視的に抽出し整理、考察した。【結果】戸惑う内容は移植術後1年未満では、薬剤や食事について6名全員にみられた。移植術後1年以上経過すると、成長発達に応じた行動範囲の拡大についてが中心になった。だが、医療には直結しない学校行事への参加や、同胞と同じ体験をさせることなどは「まだ、早いですかね。」という発言もみられた。【考察】移植術後1年未満は、薬剤、食事に戸惑うのは、移植後重要な予後規定因子の一つが拒絶反応で、移植術後1年未満に約12%の発症報告例があり、拒絶反応に対する不安の表れと考える。移植術後1年が経過できると、生活の質を上げることを考えるようになり、行動範囲の拡大に対して戸惑うのではないかと思われる。その要因には、学校行事や同胞と同じ体験をさせることは、感染症に曝露する機会が増えるため、医療者に現状を理解していないと捉えられないかという思いから、自ら聞くことに躊躇いを生じていると推察する。看護師が、退院後の患者家族の戸惑いを把握することは、実生活への理解を深め、より個別性を考慮した退院指導や、多職種への橋渡し機能の充実に繋がると考える。【結語】患者家族が戸惑う内容の実態を把握できたことで、今後のフォローアップに活用できる示唆を得た。