第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

多領域

一般口演26(III-OR26)
多領域1

2024年7月13日(土) 09:00 〜 10:00 第7会場 (4F 404-406)

座長:吉田 佳織(大阪母子医療センター)
座長:水野 芳子(東京情報大学)

[III-OR26-04] 始まった医師の働き方改革―医師事務作業補助者を活かしてますか?-

田中 祥子1, 上田 秀明2, 柳 貞光2, 金 基成2, 若宮 卓也2 (1.神奈川県立こども医療センター 医事・診療情報管理課, 2.神奈川県立こども医療センター 循環器内科)

キーワード:医師事務作業補助者, タスクシフト, 外来診療

【背景】2008年の診療報酬改定により、医師事務作業補助体制加算が導入された。医師の働き方改革やタスクシフティングの励行、チーム医療の推進が言われるようになり、医師事務作業補助者の配置が進んだ。医師の事務作業をタスクシフトすることで、実質的な時間が作られ、医師の時間外労働が短縮され、後回しになりがちな指導料や算定などのコスト入力を行うなど経営的な効果も期待された。当院では2012年よりメディカルアシスタントを診療科毎に配置し、担当する業務の内容は文書作成が中心であった。2015年に医師の負担軽減を目的として、外来診療の診療録記載に特化した高度医療セクレタリー(MS)を導入した。【MS配置の効果】外来診察において、MSが診療録記載を中心とした事務作業を行うことで、医師が患者と対面で診察できる時間が増加し診療の質の向上に貢献した。例えば、丁寧な説明が必要とされる成人移行患者人数の増加などの効果が確認できた。診療録の文字数は増加し、内容が充実したことでチーム医療にも貢献した。患者アンケート調査では、患者満足度の上昇が確認された。医師からは、集中して診療できるようになったと評価をいただいている。確認が二重になることでチェック機能が働き、エラーの回避も確認することができた。外来診察の待ち時間の短縮、指導料の算定件数の増加も確認されている。【考察】MSの配置は、医師の事務作業負担の軽減にとどまらず、診療の質の向上にも大きく貢献できることが確認できた。医師にしかできない診療や治療等従事するため、最大限、医師事務作業補助者を活用していくことが望まれる。医師事務作業補助者の業務内容、組織作り、教育方法など課題が多いと感じるが、チーム医療の一員としての役割を果たすべく努力を重ねている。臨床で多忙な医師の皆様に、一事例としてご紹介したい。