[III-OR26-06] 先天性心疾患を有する思春期・青年期女性のプレコンセプションケアに関する知識の調査結果
キーワード:プレコンセプションケア, 自立支援, 成人移行支援
【背景】先行研究では、成人先天性心疾患女性は(心臓へのリスクを意識したセルフケア行動をとる)一方で(心疾患があることを意識しない家族計画)を行っており、安全な家族計画のためには心疾患と家族計画の2つの知識が必要であると述べられている(本末他,2019)。CHD女性は自らの疾患に特化したプレコンセプションケア(以下PCC)が必要である。【目的】CHD女性のPCCの知識について現状を把握する。【方法】先行研究で作成したCHD女性のPCCの知識尺度を用いて、CHDを有する16-33歳の妊娠前の女性に調査を行う。【結果】対象者76名から回答を得た。回答者の半数は16-19歳で、疾患名はファロー四徴症、心房中隔欠損症、両大血管右室起始症等様々であり、9割が手術やカテーテル治療の経験があった。病院受診頻度は半数が1-3ヶ月で、NYHA分類はIが半数であった。55%に挙児希望があり、37%は親からの性教育、22%が医療者からの性教育経験があった。PCCの知識尺度の総得点の平均点は129.4点(184点満点中)で、10名は100点以下であった。平均点の高い項目は〈育児はパートナーや家族の協力が必要である〉〈妊娠・出産のリスクについてパートナーに理解してもらう必要がある〉等、パートナーに関する4つの項目が入っていた。平均点の低い項目は、〈妊娠を希望する場合、現在の心臓の状態で、不妊治療ができるかを知っている〉〈自分の心疾患に合った安全な性行為を知っている〉〈妊娠した際の利用できる社会制度を知っている〉等の項目であった。自由記載欄には28.9%が記載しており、〈不安〉〈心配〉〈悩む〉〈困っている〉〈知りたい〉等の言葉が入った長文であった。【考察】PCCに関する相談をする環境は少ない。また、CHDの疾患は多岐に渡り、疾患名のみでは病態の把握や患者に合ったPCCは困難である。まずは自分の病気、それに関するPCCの患者の知識を確認し、正しい情報を提供する必要がある。