[III-OR27-06] Chloroquine decreases cardiac fibrosis and improves cardiac function in a mouse model of Duchenne muscular dystrophy
Keywords:heart failure, DMD, chloroquine
【背景】Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)の死因は、呼吸不全から心不全へ移行しているが、治療は利尿剤やACEI、βブロッカー等姑息的なものしかなく、特異的な治療法はまだ確立されていない。DMDにおける心不全の発症にはアポトーシスが関与しているとの報告があるが、アポトーシスの割合は低く、他の心不全の発症機序も考えられる。我々はオートファジーに着目し、その関与について研究を進めてきた。【目的】DMDにおける心不全の発症機序を明らかにすること。【方法】DMDモデルマウス(mdxマウス)を用い、組織、心機能についてwild typeマウスと比較した。また、オートファジーを抑制するクロロキンを用いて、組織および心機能に与える影響を検討した。【結果、考察】オートファゴソームの存在をLC3抗体を用いて免疫染色を行うことで、mdxマウスとwild type マウスオートファジーを比較したところ、2群間で差は認めなかった。しかし、イソプロテレノールの負荷により、mdxマウスのオートファゴソームは著明に増加した。次に、クロロキンによりオートファゴソームが増加するかを検討したところ、予想に反して著明に減少した。ウェスタンブロットでLC3の増減について検討したところ、イソプロテレノール負荷後もオートファジーに変化はなく、他のオートファジーのマーカーであるp62/SQSTM-1にも変化はなかった。イソプロテレノール負荷によりmdxマウスの心筋線維化の増悪と著明な心収縮低下を認め、クロロキンでそれらが抑制できた。クロロキンにはオートファジーの抑制の他に抗炎症作用があり、DMDの心不全に対して複数のメカニズムで効果を発揮している可能性がある。【まとめ】クロロキンはDMDの心不全に対して増悪抑制効果を示すが、そのメカニズムにはオートファジーの抑制のみならず、抗炎症作用等他のメカニズムも関与している可能性が考えられた。