[III-OR28-01] Prone therapy for a infant with extracorporeal membrane oxygenation.
Keywords:体外式膜型人工肺, 腹臥位療法, 理学療法
【背景】体外式膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenation:ECMO)を装着時の理学療法介入では,送脱血管の位置や角度変化で送血流量が変化する懸念がある.小児患者の腹臥位療法は,仰臥位管理と比較し人工呼吸器管理期間が短縮したと報告がある.ECMOを装着した腹臥位管理は四肢体幹の可動と回旋で,より送脱血管の位置や角度に注意が必要と考える.本報告では,ECMOを装着した乳児の腹臥位療法について具体的な方法を提示する.【症例】6ヶ月,61cm,4.7kg女児.純型肺動脈閉鎖に対し,両方向性Glenn手術を施行した.術後3日に人工呼吸器離脱したが,術後9日に肺炎と急性呼吸窮迫症候群を呈し人工呼吸器管理を再開した.低酸素及び高二酸化血症の進行を認め,右鎖骨下静脈-大腿静脈から経皮的にECMOを装着した.仰臥位管理では呼吸機能改善が難しく,腹臥位療法を1日8時間,16日間実施した.実施中の大きな脱血圧変化と送血流量低下は見られなかった.術後42日にECMO,術後62日に人工呼吸器を離脱し,術後120日に自宅退院した.理学療法の方法を以下に示す.送脱血管に凹形状クッションをワンタッチロール(R)(白十字株式会社,東京,日本)で四肢と固定し,送脱血管の動揺を軽減した.以下の3点が体位変換中・後の注意点である.1)頭部中間位まで回旋可能な事を確認後に,頭部右回旋位で維持し頭部-体幹を一塊様に変換した.変換後は頭部と体幹のクッション高を一致させ相対的な回旋を予防した.2)下肢は股関節中間位で変換し,変換後は股関節屈曲30°以下に設定した.3)点滴ルート類を下肢側へ移動させ,タオルで患児を包み,点滴ルート類混線と上下肢脱落に注意した.【結論】ECMOを装着した乳児の腹臥位療法を実施する為には,送脱血管位置と角度に対し配慮が必要である.送脱血管挿入部位と四肢体幹の可動性に応じ,送血流量が変化しないよう送脱血管と身体を固定する事で,安全に腹臥位を行う事ができる.