[III-OR28-02] 幼児後期の先天性心疾患児をもつ親の育児関与とその関連要因
キーワード:先天性心疾患, 親の育児関与, 幼児後期
【背景】先天性心疾患児(CHD児)の育児に関する研究では、乳幼児をもつ母親が主な対象とされ、父親を対象に含めた研究はあまりみられない。幼児後期の子どもはしつけや遊びを通して社会性を身に着ける時期にあることから、父親も対象に含めることは重要である。【目的】幼児後期のCHD児をもつ親の育児関与とその関連要因を明らかにする。【方法】調査期間は2023年9月から6か月間とした。対象者は全国心臓病の子どもを守る会の、調査協力が得られた支部に属する3歳~6歳のCHD児をもつ親とした。調査はインターネットを用いて実施し、内容は親の育児関与(心身のケア、家事、しつけ、遊び)、対象の背景(子どもの状態、労働時間、家族形態など17項目)、職場環境、セルフケア獲得のための関わり、育児に関する社会支援の認識、配偶者からの役割期待(育児、家事、社会)、ソーシャルサポート(情緒・手段・情報・評価、近所など7種のサポーター)とした。調査結果は統計的に分析を行った。【結果】回答が得られた母親33人、父親6人の計39人を分析対象とした(回収率28.2%)。親の育児関与と関連のある要因は、対象の背景では子どもの手術回数、労働時間、家族形態など4項目、セルフケア獲得のための関わり、育児に関する社会支援の認識、配偶者からの役割期待、近所の人からのサポートであった。【考察】幼児後期のCHD児をもつ親の育児関与は、配偶者からの役割期待に加え、労働環境、近所の人からのサポート、育児に関する社会支援などと関連することから、育児における人的環境の重要性が示唆された。さらに、親の育児関与は子どもの手術回数やセルフケア獲得のための関わりが関連することから、子どもの病状を踏まえたセルフケア獲得のための支援の必要性が示された。