[III-P01-1-01] 先天性心疾患術後の漏斗胸に対しNuss法を施行した3例における術後早期の心肺機能変化
キーワード:先天性心疾患, 漏斗胸, Nuss法
【背景】漏斗胸(FC)による心血管形態や心肺機能の障害は報告されるが、Nuss法術後早期の効果に関する報告は少ない。先天性心疾患(CHD)術後のFCに対しNuss法を行われた3症例の術後早期の呼吸/循環への影響を評価した。【症例1】12歳女児。総動脈幹症、Rastelli術後11年。人工導管狭窄とFCによる右肺動脈圧排があり、Nuss法と右室流出路再建術を行われた。術後38日目に退院。術前後1ヶ月の大動脈VTI×HR 1124→815、FEV1.0-G%/%VC 104.7/68.9→82.9/39.8%に低下、BNP 15.8→25.61 pg/mLに上昇した。肺容積は術前後2週間で2.3→2.0Lに減少した。【症例2】14歳男児。総肺静脈還流異常症術後、肺静脈再狭窄解除術後13年。FCによる左右肺静脈圧排があり、Nuss法が行われた。術後20日目に退院。術前後3週間の大動脈VTI×HR 2016→1875、術前後5ヶ月で%VC 87→70%に低下した。BNPは術前後3週間で感度以下→5.8 pg/mLと上昇はなかった。術後2週間の造影CTで肺静脈狭窄は残存、肺容積は3.7→2.2Lに減少した。【症例3】10歳女児。左心低形成症候群、左肺静脈狭窄があり、Glenn術後8年。左肺動脈成長不良の原因がFCによる心臓の左胸腔内への偏位と考え、Nuss法と大動脈釣り上げ術を行い、術後35日目に退院。術前後1ヶ月の大動脈VTI×HR 1401→1585に増加、術前後2週間でBNP 6.2→34.3 pg/mLに上昇した。造影CTの肺容積は術前後1年で869→803.3 mLに減少した。【まとめ】Nuss法術後早期には循環/呼吸機能は低下、肺容積は減少した。Nuss法術後急性期には胸郭スペースの改善が乏しく、FCによる血管の圧排や心臓の偏位が術後急性期には解除されなかったためと考える。正常心ではNuss法による術後半年での右室機能の改善や術後1-2年での心肺機能の改善は報告される。一方、CHD合併例における報告は少なく、一定の見解は得られていない。CHD術後において、Nuss法による心血管形態及び循環動態の改善については経年的な評価を要する。