[III-P01-1-05] Recommendation of protein intake can improve protein losing enteropathy after Fontan operation.
Keywords:タンパク漏出性胃腸症, フォンタン手術, 成人先天性心疾患
【背景】タンパク漏出性胃腸症(PLE)はフォンタン術後の合併症の一つである。アルブミンやγグロブリンの補充を頻回に要することがあり、そのための通院や入院はフォンタン術後患者のQOLを大きく下げる要因になる。今回、フォンタン術後にPLEを発症し管理に難渋していたが、プロテイン摂取を推奨することでPLEの症状が改善した症例を経験したため報告する。【症例1】30歳男性、診断は左心低形成症候群で6歳時にフォンタン手術を行った。術後間も無くからPLEを発症し、ハイゼントラ投与に加えてγグロブリンの静注、アルブミンの補充を頻回に要し、ステロイド内服の増減を繰り返していた。2年間にPLEによる入院を8回、アルブミンやγグロブリンの補充を12回行っており、ハイゼントラ投与は週4g、ブテゾニド9mg/day、プレドニン10mg内服していた。プロテイン15gを連日追加摂取するように指導したところ、その後2年間でPLEによる入院は2回、補充は5回に減少、浮腫の訴えもほぼなくなった。プロテイン摂取前後で、アルブミンは約3 →3.5g/dL、IgGは約450→550mg/dLと上昇。現在、プレドニンは6mgまで漸減しているがPLEの増悪は認めていない。【症例2】23歳男性、診断はエプスタイン病で4歳時にフォンタン手術を行った。8歳時にPLEを発症した。長期間ステロイドを使用していた。2年間で補充療法を8回繰り返しており、浮腫の訴えも7回あった。ハイゼントラ投与は週4g、ブテゾニド9mg/day、プレドニン3mg内服していた。同様にプロテインを連日15g追加摂取するよう指導したところ、その後2年間で補充療法は1回も要しておらず、浮腫の訴えも全くなくなった。アルブミンは約3→3.5g/dL、IgGは約450→750mg/dLと上昇した。ブテゾニドは現在2mg/dayまで減量できている。【結語】PLEに対してプロテイン追加摂取を励行することで症状改善した2症例を経験した。プロテイン摂取はフォンタン術後患者のQOLを向上させる可能性が示唆された。