[III-P01-2-01] 小児慢性心不全患者に対するイバブラジンの効果
キーワード:慢性心不全, イバブラジン, 抗心不全薬
【背景】成人慢性心不全におけるイバブラジンの有効性は確立しており小児でも同様の効果が期待されている。当院でイバブラジンを投与した小児例を経験したので報告する。【症例】β遮断薬投与下もしくは導入できない患者を対象とし20%以上の心拍数低下を目標とした。症例1)男児。診断は部分13トリソミーの同胞例、両大血管右室起始、両大血管下型心室中隔欠損、肺動脈弁閉鎖。6か月で心内修復術施行。徐々に同胞と同様の拡張型心筋症の病態を呈し抗心不全薬を導入したがカテコラミン依存状態から離脱できず1歳10か月よりイバブラジンを開始。徐脈による用量調整を要したが最終的に0.6mg/kg/日まで漸増し心拍数は140/分から36%低下、カテコラミンを漸減離脱できた。症例2)男児。診断は両大血管右室起始、大動脈弁下型心室中隔欠損、肺動脈弁狭窄、2歳で心内修復術施行。術後両心不全を認め、蛋白漏出性胃腸症を繰り返すためステロイド離脱が困難であった。7歳よりイバブラジンを開始。0.3mg/kg/日まで漸増し心拍数85/分から18%低下。2か月後に弁付き導管による右室流出路再建術を施行。症例3)女児。診断は修正大血管転位、三尖弁閉鎖不全、2か月と8か月で肺動脈絞扼術を施行。両心不全で体重増加が得られず心機能低下を懸念しβ遮断薬も導入できなかった。9か月よりイバブラジンを開始。0.3mg/kg/dまで漸増し心拍数110/分から18%低下。11か月でダブルスイッチ手術を施行。症例4)女児。診断は左心低形成症候群、右室拡張型心筋症。日齢3に両側肺動脈絞扼術を施行。抗心不全薬導入下でもカテコラミンおよび呼吸器管理から離脱できず。2か月時よりイバブラジンを開始。0.3mg/kg/日まで漸増し心拍数120/分から17%低下、カテコラミンを減量できたが、5か月頃に徐脈を認め中止した。【結語】心拍数は17-36%低下したが、徐拍化効果による抗心不全効果は症例ごとに様々であった。徐脈は2例で認めた。