[III-P01-2-03] Central ECMOを経てVADを用いたFontan循環に移行した単心室例
キーワード:VAD, Fontan, 心臓移植
【背景】Fontan手術の適応とならない重症心不全例の単心室例に対して, 体心室に対する補助循環導入と同時にFontan循環を完成することで安定した心移植待機につながることが知られている. Fontan術前の単心室例は, 心臓移植適応の条件に肺血管抵抗値(Rp) 9 U・m2未満が含まれるが, Rpが高い症例でのFontan循環の成立は予測困難である. 今回, Central ECMOを経てVentricular Assist Device(VAD)へ移行した症例を経験したため報告する【症例】1歳5か月, 体重は6.7kgの男児. 左心低形成類縁疾患に対し, 日齢9に大動脈弓形成, 肺動脈絞扼術が施行されたが, 月齢2より体心室機能不全があり, 抗心不全薬を導入された. 月齢10にDamus-Kaye-Stansel吻合, 両方向性グレン手術が施行され, 1歳時に退院したが, 1か月後に心不全増悪により再入院し, 静注強心薬の中止が困難となった. 1歳3か月時の心臓カテーテル検査にて, 平均肺動脈圧15 mmHg, Rp 3.3 U・m2, PA index 181 mm2/m2であった. 重度の体心室機能不全で, 肺動脈圧, 肺血管抵抗値は除外条件ではないため心臓移植適応と判定され, INTERMACS/J-MACS profile 2であるため1歳5か月に当院にてVAD装着の方針となった. Fontan導管の吻合後に右室心尖脱血およびNeo Aorta送血とし, 遠心ポンプを用いた補助循環治療を導入したが十分な脱血が得られず, 下大静脈からの脱血を追加して初回手術を終了した. 術後は一酸化窒素を用いながら利尿をはかり, 出血が安定した初回手術後3日目に下大静脈脱血を中止し, 心尖脱血のみで循環が成立したため, 遠心ポンプからEXCOR pediarticRに変更した【考察】Fontan術前の単心室症例ではRp 9 U・m2以上が心臓移植の除外基準として示されているが, その基準を下回る症例においても一期的にVAD治療への移行が困難となる場合がある. 本症例のように静脈脱血を併用し, 肺循環の改善を待ってVADを用いたFontan循環に移行することは有用であると考えられた。