[III-P01-2-08] 在胎27週、超低出生体重児で出生し重症心不全に至ったBarth症候群の二絨毛膜二羊膜双胎の男児2例
キーワード:心筋症, Barth症候群, 重症心不全
[背景]Barth症候群はTAZ遺伝子変異により発症し心筋症を呈する。心筋症の発症時期は胎児期発症の報告もされている。 [症例]母方叔父が心拡大を伴う乳児期死亡している。母体G1P1、自然妊娠。二絨毛膜二羊膜双胎で両児とも羊水過少があった。妊娠26週、母体高血圧、両児の胎児発育不全のため入院、妊娠27週5日に頭痛、血小板減少のため緊急帝王切開となった。出生後、両児ともに超低出生体重児(修正体重は第1子 908g、第2子862g)として集学的治療を受けた。第1子は出生時LVFE 47%, LVIDd 12.8mm。徐々に左室拡大、LVEF低下を認めた。修正33週で拡張型心筋症、左室緻密化障害として利尿薬投与を開始、修正41週でエナラプリルを導入した。修正47週、ミルリノン投与下でカルベジロール導入したが、心不全が増悪し、修正51週、カルベジロール中止、ドブタミン投与を要した。好中球減少のためBarth症候群を考慮し、ビタミンカクテル療法を開始したが改善はなかった。修正57週、VFとなり蘇生されるも修正60週(生後7ヶ月)に徐脈から死亡した。死亡時体重3565g。第2子は出生時LVFE 50 %, LVIDd 15.6 mm。修正33週で腹部膨満を契機に心不全を発症。拡張型心筋症、左室緻密化障害としてドブタミン、ミルリノン投与、利尿薬投与を行った。ビタミンカクテル療法を行うも改善はなく中止した。修正41週よりエナラプリルを導入し、利尿薬漸増、追加を行うも心不全は進行した。修正50週(生後5ヶ月)、啼泣から後負荷不適合を来たし死亡した。死亡時体重2368g。両児にTAZ遺伝子変異を検出し、Barth症候群による心筋症と診断した。[考察]両児ともに出生予定日以前に心不全を発症しており、Barth症候群による心筋症の胎児期発症の経過を見ていた可能性が考えられた。内科的治療に対し抵抗性であった。[結語]Barth症候群による心不全の早期発症は内科的加療に抵抗性を示しうる。