[III-P01-3-01] 成人先天性心疾患患者に対する経食道心エコー図検査
キーワード:経食道心エコー, 成人先天性心疾患, プランニング
【背景】成人先天性心疾患(ACHD)患者の増加に伴い日常診療においてもTEEによる評価を必要とする症例が増加している。先天性心疾患における経食道心エコー図検査(TEE)は、解剖学的診断の多様性から診断に経験を要するため、当院ではTEE施行前にスタッフ間で解剖学的構造の理解を共有し、患者背景、安全面を考慮し評価手順をプランニングして施行している。【目的】ACHD患者へのTEE事前プランニングの効果を検討すること。【方法】2013年から2023年の10年間に当院生理検査室で施行したTEEのうち、ACHD症例の検査目的、評価対象、手技について解析した。前処置:一般成人患者と同様、キシロカインによる咽頭麻酔後、鎮静はジアゼパムを静注して行った。描出・評価:プローブ走査は循環器内科医が行い、心房中隔欠損(ASD)評価や複雑心疾患症例では小児循環器医が同席、検査介助、パネル操作はソノグラファーが行った。【結果】TEE述べ1430例中、ACHD症例は114例(8%)であった。年齢55[39-65]歳、未修復84例、二心室修復術後26例、単心室修復術後4例であった。発達障害を伴う患者は3例であった。検査目的はASD治療適否評価43例、血栓評価27例(不整脈治療前評価25例、塞栓源検索1例、経過観察1例)、弁膜症評価23例(大動脈弁17例、僧帽弁3例、三尖弁3例)、感染性心内膜炎評価10例で、その他11例は、術前、後評価、経胸壁心エコーでの描出不良例であった。ASD評価を除く平均検査(プローブ挿入)時間は非ACHD症例と同程度であった(ACHD群22分 vs 非ACHD群20分[P=0.605])。評価不十分であったのは2例で、いずれも心外導管の評価であった。検査中に酸素投与を要した症例は8例あったが、全例で合併症の出現なく検査を終了した。【考察】ACHD患者では特有の心耳や弁形態、胸郭、心臓位置異常を伴う例が多い。TEE事前プランニングは、検査中の評価を円滑にし、非ACHD患者と同程度の侵襲で評価可能であった。