[III-P01-3-03] 肺動脈弁置換術におけるInspiris Resiliaの短期成績
キーワード:成人先天性心疾患, 肺動脈弁置換術, 人工弁
【背景】Inspiris Resilia人工弁(Edwards Lifesciences社)は、大動脈弁位において耐久性と安全性が示されたウシ心膜人工弁であるが、肺動脈弁位への使用に関しては報告が少ない。本研究では肺動脈弁位におけるInspiris Resiliaの耐久性、安全性を検証する。【方法】2018年1月-2023年7月に当院で肺動脈弁置換術を受けた18歳以上の患者21例を対象とした。Inspiris Resiliaを使用したI群(n=9)とそれ以外の人工弁を使用したO群(n=12)に分けて、周術期情報や術前後の心臓超音波検査データを比較した。【結果】平均観察期間は50か月であった。結果はI群:O群、中央値[範囲]で示す。術前のPA peak Vは277[143.9-387.0]:302[80.1-412.0](p=0.425) cm/sでPR indexは0.68[0.64-0.86]:0.65[0.51-0.85](p=0.44 )でいずれも有意差はなかった。使用した弁のサイズは27[23-29]:26[21-29](p=0.631)mmであった。術後遠隔期の心臓超音波検査ではPA peak Vが142.5[78.8-242.0]:203[144.0-273.0](p=0.015) cm/sであり、I群で有意に加速が少なかった。術後PRの重症度は1[0-1]:1[0-2](p=0.4)と有意差なく、TRPGは21[16.7-31.0]:28[17.0-58 .0](p=0.011) mmHgとI群が有意に低かった。【まとめ】Inspiris Resiliaを使用した群は他の人工弁を使用した群と比べて肺動脈弁逆流が同等であり、肺動脈弁の加速が少ないことが示唆された。