[III-P01-3-06] 外科的な治療介入が行われずに生存している重症Ebstein奇形の高齢者
キーワード:ACHD, Ebstein奇形, 自然歴
【緒言】Ebstein奇形の発症時期や臨床経過は多様である。我々は重度のEbsten奇形を診断されながら外科的な治療介入が一切行われることなく経過している高齢者症例を経験した。Ebstein奇形の自然歴や重症度分類を再考するのに貴重な症例と考えられたため報告する。【症例】69歳男性。40歳のときに心雑音を指摘され精査の結果Ebstein奇形と診断されたが定期フォローは命じられなかった。47歳から動悸、易疲労を自覚し受診。Ebstein奇形、心房中隔欠損と診断され専門外来でのフォローを命じられた。経過中に医師から何度か手術が提案されているが拒否している。56歳のときにASDの閉鎖試験を行ったが閉鎖中の血圧低下が顕著であったため閉鎖は断念している。67歳のときに交通事故で脳出血が生じ片麻痺を残した。通院が困難となったため68歳のときに当院に紹介。初診時血圧116/80mmHg、脈拍80/分、経皮酸素飽和度89% チアノーゼ、バチ指が顕著であった。胸部X線はCTR73%、心エコーでは高度三尖弁中隔尖および後尖の下方偏位と重度のTRを認めた。以前に行われた心臓MRI検査からCerermejer Index(GOSE score)を算定すると1.46であり重症度はGrade 3に相当した。心房細動と慢性腎臓病の合併があるため現在抗凝固療法を中心とした治療を継続中である。【考案】本症例と同様の外科的治療介入なく生存している重症Ebstein奇形の高齢者症例の報告が散見される。何れの報告でも何故高齢まで外科的な治療介入なく生存が可能であったかの考察はない。Ebstein奇形の重症度を考えるうえでCerermejer Indexは広く浸透した重症度分類であるがCerermejer Indexで重度と判定されても無症状で経過する例も存在するようである。