[III-P01-3-07] 学童期以降に心内修復術を施行した右室二腔症の臨床像
キーワード:右室二腔症, DCRV, 成人先天性心疾患
【背景】右室二腔症(DCRV)の多くは心雑音を契機に乳幼児期に診断され,小児期に心内修復術が施行される先天性心疾患である.一方で進行性の病変であり,まれに成人期に心内修復術施行に至る症例が散見され,その病態や予後の詳細は明らかでない.【目的】学童期以降に心内修復術を行った右室二腔症(DCRV)の臨床経過を提示する.【方法】2006年から2023年までの間にDCRV修復術を施行した7症例を後方視的に検討した.【結果】手術時年齢および体重の中央値は39歳(11-59),49 kg(38-67).術前心臓カテーテル検査による右室内圧較差は58 mmHg (42-134),右室/左室収縮期圧比は0.69(0.57-1.01)であった.全例で乳児期に心室中隔欠損症の診断あり(2例は自然閉鎖),大動脈右冠尖逸脱を3例認めた.手術は小児心臓外科医が執刀し,右房アプローチによる右室内異常筋肉切除を行い,右室切開(2例)および主肺動脈切開(1例)による筋切除を追加した.心室中隔欠損孔は0.6 mm Dacron patchにより閉鎖し,大動脈弁への手術介入症例なし.右室内圧較差は11 mmHg (2-33)へ改善し,右室圧は速やかに正常化(28 mmHg (19-38))した.術後主要合併症なし,手術死亡なし.遠隔死亡1例(術後9年,嚥下性肺炎)を認めた.直近の心エコー検査での右室内圧較差は7 mmHg (2.3-17)であり,再発例は認めなかった(観察期間中央値12.5年 (1.6-16.1)).【考察】学童期以降の右室二腔症に対する外科治療7例を経験した.いずれも小児期には手術適応がないと判断された心室中隔欠損症や大動脈弁逸脱の併存があり,周術期評価や治療に際しては小児循環器科および小児心臓外科医の介入が望ましい.