[III-P01-4-01] Malonate given at reperfusion prevents post-myocardial infarction heart failure by decreasing ischemia/reperfusion injury
Keywords:マロネート, ミトコンドリア代謝, 心不全
目的:ミトコンドリア代謝産物のコハク酸は虚血/再灌流障害(IRI)の主因となる代謝物であり、マウス、ブタ、ヒトにおいて臓器によらずコハク酸の蓄積と酸化は普遍的な現象である。ヒト疾患の病態にも大きく関与しており、再灌流療法を要する心筋梗塞や脳梗塞だけでなく、臓器移植の際などでも問題になってくる。再灌流時にマロネートを使用してコハク酸代謝を阻害することは、短期間(再灌流後24時間以内)で心筋保護を達成する効果的な治療戦略であることをこれまで報告してきた。本研究の目的は、再灌流時にマロネートを使用してIRIを抑制し、28日後の心筋梗塞(MI)後の心不全予防について評価することである。方法と結果:雄のC57BL/6Jマウスに対し、冠動脈左前下降枝(LAD)の閉塞を30分間行い、その後28日間の再灌流を行った。再灌流時にマロネートまたは生理食塩水のコントロールを単回投与した。心機能は心臓超音波検査により評価し、マッソン・トリクローム染色により心筋組織線維化を病理学的に定量した。生理食塩水での再灌流では、MI後28日間においてEF、FSの有意な低下と心筋線維化の増加をもたらした。一方、再灌流時に単回投与したマロネート(160 mg/kg)では、EFとFSを保持し、心筋線維化を減少させる有意な心筋保護効果を示した。またマロネートの心筋細胞内への取り込みはモノカルボン酸トランスポーター1(MCT-1)を介して増強するために、酸性化マロネート製剤(16 mg/kgと160 mg/kg)を使用したところ、生理食塩水コントロールと比較してEFとFSを保持し、有意に心筋線維化を減少させる長期にわたる心筋保護効果を実証した。結論:再灌流時にマロネートを投与することで、IRIを効果的に軽減し、MI後の心機能を維持し、心不全の発症を防ぐ効果があることを示した。酸性化マロネート製剤の使用は、心筋細胞への取り込みを大幅に向上させ、低用量でも長期間の心保護を可能にするため、有望な治療戦略となる。