[III-P01-4-05] 急性心筋炎を疑われた心外膜下血種の女児例
キーワード:心外膜下血種, 冠動脈狭窄, 心臓腫瘤
【背景】心外膜下血腫は大動脈解離や経皮的冠動脈インターベンションの合併症として報告されているが、今回我々は誘因なく心外膜下血腫を発症し、胸痛、心電図変化、トロポニン陽性などから急性心筋炎が疑われた1例を経験したので報告する。【症例】症例は10歳女児。前日より前胸部痛と嘔気嘔吐があり、前医へ救急搬送された。同日の血液検査では異常所見は認めず、経過観察入院となったが、翌日に心電図でV1-2誘導のSTが上昇し、血液検査でトロポニン陽性であったため、急性心筋炎が疑われ当院へ転送された。入院後の経胸壁心エコーでは右房前面で右房室間溝に接して径30*21mmの内部低エコーの嚢胞状腫瘤を認めた。造影CT検査では同腫瘤が右房左房を圧排しており、造影効果は認めなかった。腫瘤に接して圧排される右冠動脈を認めた。造影MRIでは、T2で高信号を認めたが出血は疑われず発生由来や質的診断は困難であった。CAGでは右冠動脈は腫瘤に接する#2で50%狭窄を認めた。入院後安静で、症状は自然消失し、心筋逸脱酵素は正常化し心電図変化も消失し正常化したが、入院5日目に腫瘤内部のエコー輝度上昇と拡大を認めた。造影CTを再検し、腫瘤径は39*44mmに増大、腫瘤内部は造影されなかった。短期間に増大したため入院6日目に開胸ドレナージを施行した。腫瘤は肥厚した臓側心外膜で覆われ、内容液は血性で、病理学的診断では心外膜下血腫であった。【まとめ】心筋炎が疑われたが、心外膜下血腫の希有な一例を経験した。心外膜下血腫による右冠動脈圧への圧排で心筋虚血が生じた可能性が最も考えられが、当初のMRIでも出血の判断は不可で、心エコーでも内部均一な低エコーを呈し臨床診断は困難であった。手術介入判断に、短期の経時的な画像評価が有用であった。