[III-P01-4-07] Problems in the management of congenital heart disease in the fetal and neonatal period in a rural hospital
Keywords:地域医療, 新生児, 医療連携
【背景】先天性心疾患には新生児期ないし乳児期早期に心臓外科手術が必要な疾患が少なからず存在し、心臓外科手術のできない施設では適切な時期に手術実施施設に紹介することが必要であるが、地方病院特有の苦悩が存在する。【目的】地方病院における胎児期・新生児期先天性心疾患管理の問題点を明らかにすること。【当院の現状】当院は県内唯一の総合周産期母子医療センターを抱える総合病院であり、新生児病棟への年間入院数は400例を超えるが、その多くは早産児であり先天性心疾患患児は少ない。しかし県内で先天性心疾患の集中治療が可能な施設は少なく、先天性心疾患の正確な診断・治療を行う当院の役割は大きい。当院では未熟児動脈管開存症の結紮術を除く心臓外科手術は他院に紹介せざるを得ないが、手術実施施設へは陸路で2~2.5時間と長時間の新生児搬送となるため、胎児診断症例は、手術実施施設と情報共有を行うとともに、希望・病態に応じて胎児期に母体紹介を行い、出産およびそれに続く新生児期治療を行う施設について家族と話し合うようにしている。しかし出生時診断がつかず緊急入院となり家族内で十分な準備が整う間もなく新生児搬送が必要となる症例も少なからず存在する。【結果】胎児心エコーによる出生前診断・新生児期集中治療・心臓カテーテル検査・小児循環器外来診療を行っているが、症例数が少ないことや心臓外科によるバックアップ体制がないことから診療内容に様々な制約があった。また自宅から遠隔地の病院に紹介することで家族内での支援体制が脆弱になり入院中の面会や退院後の通院に苦労するなど様々な社会的問題がみられた。【考察】先天性心疾患に対する心臓外科手術のできない地方で出生する患児およびその家族が直面する医療的・社会的問題点を明らかにし共有することは、地方病院と手術実施施設とのより良い連携につながり、より良い医療の提供に寄与すると考える。