[III-P02-1-01] 小児患者におけるリバーロキサバンの効果と凝固機能検査に及ぼす影響
キーワード:リバーロキサバン, DOAC, フォンタン術後
【背景】直接作用型経口凝固薬(DOAC)であるリバーロキサバン(イグザレルト)は小児の「静脈血栓塞栓症の治療および再発抑制」に適応があるが、2023年11月に「Fontan手術施行後における血栓・塞栓形成の抑制」の適応が追加された。DOACの小児使用経験はほとんどないまま、今後Fontan手術後に使用される。【目的】小児の血栓塞栓症に使用した経験からリバーロキサバンの効果と安全性、凝固機能検査への影響を検討する。【症例1】12歳女児、11kg、ドラベ症候群。寝たきりで長期入院中。カテーテル感染治療中に下肢深部静脈血栓症(DVT)を発症しヘパリン開始。血栓消失後にリバーロキサバン3mg×3回/日に置換。体重増加し5mg×2回/日に増量。5か月後、胃瘻から出血し内服中止。出血時、PT 11.0秒、PT-INR 0.99、APTT 33.6秒だった。その後も胃瘻から少量の血液が引けるたびに中止と再開を繰り返した。1年3か月後の中止中にDVTが再発し、内服再開のみで2週間後に血栓消失した。経過中、APTT秒は有意な延長はなかったが、PT秒は内服前(9.9秒)に比べ3mg内服(10.9秒)、5mg内服(11.1秒)ともに有意に延長した(p=0.03, 0.008)。PT-INRは内服前(INR 0.89)に比べ5mg内服(INR0.99)で有意に延長した(p=0.01)。【症例2】1歳6か月女児、10kg、ドラベ症候群。けいれん重積で入院中。カテーテル感染治療中にDVTと肺血栓塞栓症を発症しヘパリン開始。血栓残存あるが10日後にリバーロキサバン3mg×3回/日に置換。出血等の合併症なし。【考察】症例1の胃出血が副作用であるか不明だが、出血時には内服は中止すべきである。内服中は再発抑制できていたが、中止により再発した。再発時に内服のみで血栓消失し治療効果もある。PT秒とPT-INRは用量依存性に正常範囲内で有意に延長した。Fontan手術後は、より低用量の設定であるためモニタリングは必要ないと考えるが、出血などの緊急時にはPTの測定はした方がよい。