[III-P02-1-05] The case of infective endocarditis despite antimicrobial prophylaxis
Keywords:感染性心内膜炎, 抗菌薬予防投与, streptococcus mitis
【緒言】本邦における感染性心内膜炎(IE)予防投与に関しては、高度リスク群に対しては推奨クラスI、中等度リスク群に対しては推奨クラスIIa,bとされている。一方欧米においては、予防投与の必要性は低く見積もられており、予防投与の有益性に関しては意見の一致をみていない。今回、抗菌薬予防投与後に口腔内処置を行ったにもかかわらずIEを発症した症例を経験したため報告する。【症例】2歳男児。生後、三尖弁閉鎖症IIc. 大動脈縮窄症と診断。日齢6に両側肺動脈バンディング、6か月時にノーウッド手術(RV-PA conduit)を施行されたが、その後肺血管の成長が不十分であったためグレン手術は不適応となり、1歳11か月時に RV- PA conduit takedown、セントラルシャント手術を施行されていた。2歳6か月時に、転倒し口唇・歯茎部を打撲。出血が持続しており、近医で高度リスク群として抗菌薬予防投与の上、創閉鎖術を行われた。8日後より発熱が出現、軽度の炎症反応上昇を認め、当日採取した血液培養でStreptococcus mitisが検出された。エコー上疣贅の検出は困難であったが、口腔内受傷エピソードや検出菌よりIEと判断、ABPC, CTRXでの治療を開始した。その後、薬剤感受性試験ではABPC, CTRXいずれも耐性で、VCMに変更し、約4週間の抗菌薬治療を行った。合併症や再発なく経過している。【結語】抗菌薬予防投与にも関わらず、IEを発症したセントラルシャント術後の症例を経験した。本症例においては口腔内損傷後であったことや耐性菌であることが原因として考えられたが、予防投与の是非については不明な点も多く、IE予防投与の有益性について考察する。