第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

術後遠隔期・合併症・発達

ポスター発表(III-P02-1)
術後遠隔期・合併症・発達5

2024年7月13日(土) 10:00 〜 11:00 ポスター会場 (2F 多目的ホール)

座長:梶山 葉(京都府立医科大学 小児科学教室)

[III-P02-1-06] 重症疾患群における予防的開窓術の成績

松本 一希1, 鈴木 謙太郎1, 朱 逸清1, 佐藤 純1, 小山 智史1, 吉井 公浩1, 吉田 修一朗1, 西川 浩1, 櫻井 寛久2, 野中 利通2, 櫻井 一3 (1.JCHO中京病院 小児循環器科, 2.JCHO中京病院 心臓血管外科, 3.名古屋大学医学部附属病院 小児循環器センター)

キーワード:fontan, 予防的開窓術, 自然閉鎖

【背景】fenestration(開窓術)を行うことは、周術期の胸水の問題を改善させるとされ、更には遠隔期の合併症を予防しうる。当院では左心低形成症候群や無脾症候群などの重症疾患に限定してパンチャーを使用して予防的開窓術を作成している。【目的】当院において開窓術を施行した児の開窓の経過と周術期・遠隔期の合併症について評価する。【対象】2010年2月から2021年6月までに当院にてFontan手術を施行した138名中、開窓術を施行した51名について後方視的に検討した。【結果】開窓術を施行し、最終フォローまで開存している群F群(N=34)、自然閉鎖した群をC群(N=17)に分けて検討した。Fontan時の年齢(F812日:C853日)、フォロー期間(F6.1年:C6.8年)には差は認めなかったが、手術体重(F10.4kg:C9.5kg)(p=0.02)で有意差を認めた。Glenn手術時のRpIは(F群2.3U・m2:C群1.7 U・m2)(p=0.04)と有意に閉鎖群が低いが、肺動脈圧(F10.4mmHg:C12.1mmHg)や肺動脈圧-EDP(F3.3mmHg:C4.7mmHg)では差を認めなかった。開窓は径が小さい方が閉鎖しやすく(3mm 42.9% :3.5mm 21.1%)、閉鎖する場合は術後早期(入院中4例(23.5%)、4ヶ月以内8例(47.1%))に閉鎖する例が多かった。使用導管(F16.3mm:C16.6mm)、開窓の角度(F30.9度:C7.1度)で有意差はなく、ドレーンの留置期間(F10.2日:C10.3日)にも有意差はなかった。SpO2は、(F90.1%:C95.2%)(P<0.05)で有意差を認めたがCVP(F11.8mmHg:C10.1mmHg)には有意差を認めず、開窓に対してのinterventionはF群6例、C群で2例であり、開窓を積極的に閉じに行く症例はなかった。フォロー中に死亡したのはF群で2例であった。PLEや鋳型気管支炎の術後遠隔期の合併症はC群で1例に対し、F群では5例であった。【結語】重症疾患において予防的開窓術は有効であり、特にRpIの低い児で3mmの開窓は自然閉鎖しやすく周術期の管理に難渋することはなく、遠隔期の合併症も増やさず有効な成績であった。