[III-P02-1-10] Non-infectious subclavian arterial aneurysm long after closure of modified Blalock-Taussig shunt in an adult with tetralogy of Fallot.
Keywords:BTシャント, 動脈瘤, TOF
【背景】mBTSに関連する動脈瘤はmBTS維持中の感染性仮性動脈瘤が多いが、閉鎖後遠隔期の非感染性真性動脈瘤に関する報告は少ない。【目的】mBTS閉鎖後遠隔期に非感染性鎖骨下動脈真性瘤をきしたファロー四徴症術後成人例を報告する。【症例】30歳女性。自覚症状はない。1ヶ月時にファロー四徴症・卵円孔開存・動脈管開存と診断。鎖肛、狭頭症、脊髄脂肪腫の合併があった。1歳4ヶ月時に左前側方切開で5mm Golaski graftを用いたleft mBTSを施行した。2歳5ヶ月のtransannular patchを用いたファロー四徴症修復術時にleft mBTSは一重結紮及びmetallic clipにて閉鎖された。修復術前、修復術後1年、5年のカテーテル検査で鎖骨下動脈瘤は確認されなかった。修復術後25年に右室流出路再再建を考慮した心臓MRI検査を施行、左鎖骨下動脈に最大径26mmの嚢状動脈瘤を認知した。胸部単純X線検査を振り返ると修復術後18年より瘤影が確認された。修復術後27年に右室流出路再再建・左鎖骨下動脈形成術を行った。【術前検査所見】造影CT検査・心臓MRI検査・血管造影検査にて左鎖骨下動脈からleft mBTS端に連続する左鎖骨下動脈嚢状瘤を確認。瘤内に石灰化や血栓なし、他部位に動脈瘤なし。【術中所見】mBTS吻合部の破綻。【瘤壁病理所見】動脈壁層構造を確認し真性動脈瘤の診断、粥状硬化や血管炎所見なし。【考察】鎖骨下動脈瘤は喀血や圧迫症状、拍動を主訴とし発見に至るが、本例は無症状で経過した。一般に真性動脈瘤は粥状硬化や非感染性の炎症を契機に発生するとされるが、本例の瘤壁に粥状硬化や血管炎所見は無く、未離断mBTSによる左鎖骨下動脈mBTS吻合部の肺動脈側への物理的牽引力が瘤の成因と推測された。【結語】mBTS閉鎖後遠隔期に鎖骨下動脈真性動脈瘤をきしたファロー四徴症術後成人例を経験した。未離断でのmBTS閉鎖では術後遠隔期にも症状なく動脈瘤が発生するので生涯の観察が必要と思われた。