[III-P02-2-02] Sub-analysis of patient data who underwent liver transplantation for portopulmonary hypertension.
Keywords:門脈肺高血圧, 肝移植, 移植時年齢
【目的】肝障害や門脈異常は門脈肺高血圧(POPH)をきたすが、理論的には肝移植によってPOPHは改善する。我々は2023年に、肝移植を行ったPOPH患者12症例の解析を報告した。報告では、肝移植によって心係数が低下し、その結果によって肺動脈圧改善を認めるという結論であり、この解析では肺血管抵抗値の有意な低下は認めなかった。これら症例のサブ解析を行うことで、より適切な肝移植適応や有効な肝移植タイミングを評価することとした。【方法】門脈肺高血圧と診断され肝移植を行うとともに、肝移植前と移植6ヶ月後の平均肺動脈圧・肺血管抵抗・心係数・全身血管抵抗、BNP値などについてデータを比較してサブ解析を行った。【結果】移植時年齢、疾患の種類、移植回数、肝移植前の肺高血圧治療薬の反応については肝移植後の肺動脈圧低下に有意に寄与しなかった。肝移植前後の平均肺動脈圧低下については有意差がないものの、移植時年齢が15歳以上と未満で比較すると15歳未満の症例でより低下傾向が強かったため、肺血管抵抗、心係数、全身血管抵抗、BNP値で比較した。肺血管抵抗は15歳未満の症例で有意に低下していた。有意差がないものの、15歳未満の症例で心係数低下、全身血管抵抗の上昇、BNP値の低下が顕著に見られた。【考察】以前の包括的データでは肝移植後の肺動脈圧低下については心係数の低下が大きく寄与していると結論づけていたが、移植時年齢が15歳未満の症例に限ると、肺動脈圧の低下は肺血管抵抗の低下と関連がある可能性が示唆された。【結論】門脈肺高血圧に対する肝移植は、15歳までの年齢で施行するのが良い可能性が示唆された。ただし、今回解析した症例数は限られており、今後のデータの蓄積によって本結果を再度裏付ける必要がある。