The 60th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster Session

肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

Poster Session(III-P02-2)

Sat. Jul 13, 2024 10:00 AM - 11:00 AM Poster venue (2F Multi-purpose Hall)

座長:武内 崇(海南医療センター 小児科)

[III-P02-2-04] The risk factor of worsening postoperative pulmonary hypertension after biventricular repair: report from Japanese Association of CHD-PH Registry

住友 直文1, 石崎 怜奈1, 内田 敬子2, 高月 晋一6, 石井 卓3, 石田 秀和5, 福島 裕之7, 小垣 滋豊8, 稲井 慶4, 土井 庄三郎9, 山岸 敬幸1 (1.慶應義塾大学 医学部 小児科学教室, 2.慶應義塾大学 保健管理センター, 3.東京医科歯科大学 小児科, 4.東京女子医科大学 循環器小児・成人先天性心疾患科, 5.大阪大学大学院医学系研究科 小児科学, 6.東邦大学医療センター大森病院 小児科, 7.東京歯科大学市川病院 小児科, 8.大阪急性期総合医療センター 小児科・新生児科, 9.災害医療センター 小児科)

Keywords:postoperative PH, レジストリ, 術後残存肺高血圧

【背景】昨年の本学術集会において、二心室修復術(ICR)後の残存肺高血圧症(術後PH)が経時的に増悪する患者群の存在をレジストリより報告したが、術後PHの増悪因子についてはまだ解明されていない。
【目的・方法】2021年8月から2023年12月の間にレジストリに登録された術後PH患者80名のうち、ICR後に心臓カテーテル検査(CC)で肺高血圧症(PH)と診断され、その後フォローアップのCC(fCC)が行われた患者31名(男16名)を対象とした。31名を診断時CCとfCCの間で、肺血管抵抗(Rp)が増悪した群(W群:7名)と、Rpが不変ないし改善した群(I群:24名)に分け、術後PHの増悪因子について検討した。
【結果】W群はI群に比較して(W群 vs I群で表記)、PH診断から登録までの年数が長い(中央値7.4年 vs 5.2年、p = 0.03)、fCC時のRpと右房圧が高い(Rp中央値8.3 W.U・m2 vs 3.3 W.U・m2、p = 0.05、右房圧中央値10 mmHg vs 7 mmHg、p = 0.02)、肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損(PAVSD)の頻度が高い(28.6 % vs 0 %、p = 0.00)、姑息術実施例の頻度が高い(100 % vs 29.1 %、p<0.01)、という結果だった。また傾向の見られたものは、登録時年齢が高い(中央値18.4歳 vs 9.9歳、p = 0.08)、PH診断時のRpが低い(3.6 W.U・m2 vs 7.4 W.U・m2、p = 0.09)、心室中隔欠損の頻度が少ない(0 % vs 37.5 %、p = 0.054)、エンドセリン受容体拮抗薬の服用頻度が高い(85.7 % vs 50 %、p = 0.09)、プロスタサイクリン製剤の使用頻度が低い(0 % vs 20.8 %、p = 0.09)、という結果だった。
【考察・結論】姑息術を要した症例やPAVSDの症例では、術後PHが経時的に増悪する可能性が考えられた。一期的ICRが困難である全身状態や循環動態、およびPAVSD症例における先天的な肺動脈発育不全が、術後PH増悪と関係する可能性があると推察した。今後症例数やフォロー期間が延びることで、術後PHの増悪因子に関するさらなる解明が期待される。