[III-P02-2-05] Prognostic analysis of acute pulmonary vascular response test in children with pulmonary arterial hypertension
Keywords:肺循環, 肺動脈性肺高血圧症, 急性肺血管反応試験
【背景】特発性肺動脈性肺高血圧・遺伝性肺動脈性肺高血(IPAH・HPAH)の治療選択において、適切なリスクの層別化が求められる。急性肺血管反応試験(AVT)は2022年のERS/ESCの肺高血圧診療ガイドラインの改訂でその意義が強調されたが、本邦の小児における知見は少ない。今回AVTの小児IPAH/HPAH患者の治療に対する影響を評価した。【方法】1981年~2023年に当院で診療した小児IPAH/HPAH患者で、診断時AVT施行例を対象に、診療録より後ろ向きに経過を解析した。AVTはR.BarstのREVEAL試験で使用された基準を採用した。【結果】対象は36例で、AVT陽性18例、陰性19例。陽性群 vs. 陰性群で比較し、平均肺動脈圧(mPAP; mmHg) 68.6±3.9 vs. 60.0±3.6 (p=0.11)、肺血管抵抗(Rp)、肺体血管抵抗比(Rp/Rs)、心係数(CI)で有意差なし。生存期間中央値(月) 137 vs. 69.5 (p=0.32)。そのうち、診断から1年後に評価をしたAVT陽性13例と陰性10例の経過を比較した。陽性群で、mPAPは66.0±4.5→51.6±4.1 (p<0.01)に低下したが、陰性群では63.6±4.7→61.5±6.5 (p=0.61)で有意差なし。RpとCIは、陽性群、陰性群ともに有意に改善し、Rp/Rsは有意差なし。陽性例で、1年後にmPAPが上昇したものは2例であったが、いずれも中学生の女児で内服コンプライアンス不良の症例であった。【考察】AVT陽性/陰性群間で診断時mPAP、Rpに差は無いが、陽性群では陰性群と比し生存率が高く、治療に反応しmPAPが有意に低下したことから、本邦の小児のIPAH/HPAH診療のリスクの層別化の指標となる可能性が示唆された。また、AVT反応例でも内服コンプライアンス不良で治療出来ていなければ、悪化を招くことが示唆された。