[III-P02-2-06] Characteristics of pulmonary hypertension in MAPCA
Keywords:MAPCA, PH, 肺血管拡張剤
【背景】主要体肺側副動脈(MAPCA)で肺高血圧(PH)をきたす疾患は第5群の複雑先天性心疾患に伴うPHに分類される。この群はその他の先天性心疾患を伴うPHとは異なり、狭窄によりPHのない領域が混在したり、根治前に肺血管拡張剤の導入によりチアノーゼが改善したりすることをしばしば経験する。【目的】MAPCA症例におけるPHの特徴について考察する。【対象と方法】1994年から2024年1月までに当院で加療しフォローを行っているMAPCA症例を、電子カルテを用いて後方視的に検証する。【結果】当院でフォローしているMAPCA症例は44例。年齢は0歳から30歳。主疾患はPAVSDが42例の他、特殊例でccTGAが1例、PAIVS hypoRVが1例だった。手術はラステリ手術到達が33例、ラステリ手術未到達が4例、ラステリ手術困難例が7例であった。ラステリ手術後にPHを有する(1肺区域以上でmean PAP>20mmHg または PVRI>3Wood単位・m2)症例は17例。そのうちの11例に肺血管拡張薬が導入されていた。mean PAP 20mmHg以下に改善したものは17例中6例だった。改善した6例は全例で末梢性肺動脈狭窄(PPS)が改善もしくは最初からPPSを認めなかった。6例中4例は肺血管拡張剤を導入していなかった。PHを有する患者を片側に20mmHg以上のPPSがあるPPS群n=11 (84%) と非PPS群n=8 (50%) で比較すると有意差を認めなかったがPPS群でPHが多い傾向にあった。(odd ratio 5.5 p=0.06)。ラステリ手術未到達もしくは、手術困難例で、11例中8例で肺血管拡張剤の導入を行っており、チアノーゼの改善を認めていた。【考察とまとめ】MAPCAのラステリ手術後のPHはPPSの有無が大きく関与している。肺血管拡張剤はラステリ手術後のPHに対する治療効果には乏しいが根治前の症例にはチアノーゼの改善に大きく寄与することが示唆された。