[III-P02-2-08] 肺動脈性肺高血圧症の予後予測における平均肺動脈圧の意義
キーワード:肺高血圧, 平均肺動脈圧, 小児
<背景> 成人の特発性及び遺伝性肺動脈性肺高血圧症(I/HPAH)において平均肺動脈(mPAP)が予後予測因子として用いられ、40mmHg以下を目指す治療戦略が主流となっているが、小児のI /HPAHではその有用性については十分報告されていない。<目的> 小児期から若年成人期のI/HPAHにおけるmPAPが予後予測因子となるかを検討した。<方法>当院経過観察中の I/HPAH 48例(診断時年齢中央値9歳(2-17歳)、遺伝性 11例、女性26例)で生存例では少なくとも5年以上経過観察した症例を対象とし、診断時のmPAP、治療開始1年目のmPAPの改善、急性肺血管反応試験によるmPAPの変化、mPAP/平均体血圧(mSAP)比の変化、Adverse events(AE:肺移植施行または登録、心不全死)との関連を検討した。<結果> AEあり群は15例(31%:肺移植4例(施行2例、登録2例)、死亡11例)。診断時のmPAPはAEあり群となし群では有意差はなかった(Median:AEあり 67(40-111)mmmHg vs AEなし 60(36-108)mmHg)。治療1年後のmPAPもAEあり群となし群では有意差はなかった(AEあり Median:66(41-108)mmmHg vs AEなし 58(17-126)mmHg)。急性肺血管反応試験によるmPAPの変化も両群で有意な改善はなく(Median:AEあり 67 vs 59 mmmHg , AEなし60 vs 54 mmHg)、Sitbon基準を満たした症例はなかった。1年後に40mmHg以下を達成できた症例はAEあり群で1例、AEなし群が3例であった。またmPAP/mSAP比は、診断時(Median:AEあり 0.60(0.85-1.41)vs AEなし0.92(0.38-1.54))、1年後(Median:AEあり 0.90(0.66-1.42)vs AEなし 0.96(0.27-1.85))ともに両群で差はなかった。<結論> I/HPAHにおけるmPAP及びmPAP/mSAP比は、有用な予後予測因子ではない。