第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

成人先天性心疾患

ポスター発表(III-P02-3)
成人先天性心疾患2

2024年7月13日(土) 10:00 〜 10:50 ポスター会場 (2F 多目的ホール)

座長:安田 謙二(島根大学小児科/医療的ケア児支援センター)

[III-P02-3-01] フォンタン循環患者に対する直接作用型経口抗凝固薬の減量使用

弓田 悠介1,2, 高砂 聡志2, 児玉 浩幸2,3, 木島 康文2, 丹羽 公一郎2, 椎名 由美2 (1.防衛医科大学校 循環器内科, 2.聖路加国際病院 心血管センター, 3.福岡和白病院)

キーワード:Fontan循環, 抗血栓薬, DOAC

【背景】Fontan循環を有する(Fontan)患者の遠隔期管理において術式や併存疾患に応じた血栓症リスク低減のため抗血栓薬が使用される。小児患者も含めたFontan患者での直接的経口抗凝固薬(DOAC)の使用に関する報告が増えているが、抗血栓薬使用に伴い女性では過多月経による出血が問題となる。DOACは出血リスクが高い患者群で減量使用に関する安全性が示されたが、Fontan患者における減量については研究がなされていない。【方法】2011年1月から2023年7月までの間に当院のACHD外来に定期通院をした患者のうち、Fontan患者で女性かつ抗血栓薬が投与された症例を対象とし、NYHA class (I-II/III)、Fontan関連肝疾患 (FALD)などを含む患者背景を後方視的に収集した。抗血栓薬の種類と投与量により抗血小板薬(APT)群、ワーファリン(VKA)群、DOAC群、DOAC減量(減量)群に分類した。有効性は期間中の血栓イベントの有無、安全性は過多月経を含む出血イベントの有無と定義した。【結果】計34例(年齢27 [23-30]歳)が解析に含まれた。12例(38%)がAPT群、4例(12%)がVKA群、6例(19%)がDOAC群、10例(31%)が減量群であった。フォロー期間は2435 [1396-3402]日であった。VKA群のINRは1.8 [1.5-2.3]であった。NYHA class は減量群 ではIIIが80%と他の群と比較して有意に多く(p=0.04)、FALDはDOAC群、減量群ともに100%で、VKA群 (0%)およびAPT群 (25%)と比較し有意に多かった (p=0.001)。4群ともに投与期間中血栓イベントは認めず、抗血栓療法を完全に中止した症例はなかった。減量群で2例、DOAC群で1例出血イベントを認めたが、生存分析において出血イベントについて4群間で有意な差を認めなかった。【結語】Fontan患者においてDOACの減量使用は症例に応じて用いられている。今後検討が必要であるが、出血リスクを低減しながら血栓予防に関する有効性が期待できる可能性が考えられた。